全銀ネット 遅れ出ていた振り込み処理もすべて完了 運営団体

金融機関どうしの資金のやり取りを担う全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」のシステムに不具合が発生した問題で、運営団体はシステムが復旧し、遅れが出ていた振り込みの処理もすべて完了したと発表しました。

全国銀行協会の関連団体の全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」は、10日から不具合が続いていた金融機関どうしの資金をやり取りするシステムについて、12日午前8時半から正常に稼働していることを確認し、復旧したと発表しました。

今回のシステムの不具合では10の金融機関で振り込みが遅れるなどの影響が出ましたが、システムの復旧を受けて三菱UFJ銀行やりそな銀行、商工中金など各金融機関で通常通りの利用ができるようになったということです。

全銀ネットによりますと、10日から11日までに処理が遅れた取り引きはあわせて500万件を超えたということですが、12日午前中までにすべての処理が完了したということです。

全銀ネットは「多大なるご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

今回の不具合は今月9日までの連休中にシステムと各金融機関をつなぐ中継コンピューターを更新する作業の中で発生したとしていて、全銀ネットは引き続き詳しい原因を調べることにしています。

利用者からは改善求める声

都内にある銀行の利用者からは再びトラブルが起きないよう求める声が聞かれました。

このうち、自動車の整備などを行う会社で経理を担当する50代の男性は「トラブルの影響で、取引先からの入金やこちらが支払った代金の着金が遅れました。お金のやり取りは信頼に関わることですし、システムも使えて当たり前の時代になっているので、しっかり修正してほしいです」と話していました。

また、飲食店を経営する50代の男性は「昨夜、アルバイトの従業員から給料が振り込まれていないと連絡がありました。復旧したと聞いているので、相手に届いていればいいのですが、現金で直接渡すことも考えています。複雑なシステムだとは思いますが、トラブルが起きたときにははやく解決してほしいです」と話していました。

さらに会社で経理を担当する60代の女性は「自分の会社は影響を受けずに済みましたが、トラブルが長引いたので、困る人が増えなければいいなと思います」と話していました。

愛知 一宮市「今後事態が発生した場合の対応も検討したい」

一時、児童手当などの振り込みが滞った愛知県の自治体からは「今後、こうした事態が発生した場合の対応も検討したい」という声が聞かれました。

愛知県一宮市では、指定金融機関である三菱UFJ銀行の口座から必要な振り込みを行っています。

市によりますと、システムに不具合が発生した10日は、児童手当や市が発注した工事の代金など振り込みが多い日でした。

10日にはおよそ3万件の振り込みを予定していましたが、このうち、他行宛ての2万件程度で振り込みができなかったということです。

システムの不具合は12日午前に復旧し、公金の出納を管理する会計課には12日昼ごろ銀行から「滞っていた振り込みがほぼ完了した」と連絡があったということです。

一宮市会計課の前田健司課長は「システムが始まって以来の障害ということで非常に不安でしたが、復旧してとりあえずほっとしました。今後、こうした事態が発生した場合の対応も検討したい」と話していました。

松野官房長官「全銀ネットに対しては金融庁が必要に対応」

松野官房長官は午後の記者会見で「国民生活に影響が生じたことを踏まえ、全銀ネットと金融機関には、影響を受けた顧客への丁寧な対応に万全を期してほしい。政府としては引き続き状況を注視するとともに、全銀ネットに対しては、原因の究明と再発防止に取り組むよう金融庁が必要な対応を行う」と述べました。