攻防激化 ”ロシア軍兵士がPTSDに直面”英国防省が分析

領土奪還を目指すウクライナ軍が南部ザポリージャ州で反転攻勢を続けるなか、ロシア軍は東部ドネツク州で攻撃を強化したとみられ、攻防が激しくなっています。

ウクライナ軍の参謀本部は10日、東部ドネツク州のアウディーイウカ方面でロシア軍が戦車や装甲車の部隊による攻撃を強化したと発表しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も10日、ロシア軍がドネツク州のアウディーイウカ地域などで局地的な攻撃作戦を開始したと指摘したうえで、「反転攻勢を行うウクライナ軍を南部ザポリージャ州のロボティネ地域から引き離すことを目的としている可能性が高い」と分析しています。

ウクライナ軍は、ザポリージャ州ロボティネ方面で反転攻勢を続け、南方にある交通の要衝トクマクの奪還を目指していますが、ロシア側はこれを阻止しようと、地雷の敷設作業を再び行っているとも指摘され、攻防が激しくなっています。

一方、イギリス国防省は11日、ロシア軍の兵士がPTSD=心的外傷後ストレス障害に直面していると指摘しました。

ロシア側の調査の数字として、去年12月の時点でPTSDの症状があるロシア兵はおよそ10万人としていますが、イギリス国防省は、ロシア軍は前線に展開する兵士の配置に失敗するなど、その数は確実に増えていると分析しています。

イギリス国防省は「ロシア軍は、兵士の精神面の健康や戦闘が適正かどうかの配慮が欠如していて、戦闘の効率が低下し続けている」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領“本格的な冬を前に防空システム必要”

ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、各国がウクライナへの軍事支援を協議する会合に対面で出席するため、ブリュッセルを訪れました。

会合を前にゼレンスキー大統領は会見し、「重要なのは、防空システムだ。市民やエネルギー網、そしてアフリカやアジア、世界へと通じる穀物の供給ルートを守るために、防空システムを必要としている」と述べ、本格的な冬が近づく中、防空システムの一層の強化が不可欠だと改めて強調しました。

また、会見に同席したNATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長も「プーチン大統領が再び、冬を戦争の武器として使う準備をしているとみられる。防空システムを充実させ、それを防がなければならない」と述べ、エネルギー関連のインフラ施設に対するロシア軍の攻撃が激化することに警戒感を示しました。