銀行のシステム障害相次ぐ なぜ?サイバー攻撃の可能性は?

金融機関どうしの資金のやり取りを担う全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」のシステムで10日朝、不具合が発生し、11の銀行で他行への振り込みなどが停止されるなど全国的に影響が広がりました。さらに、ゆうちょ銀行でも10日の朝にシステム障害が発生し、スマートフォン上で送金などを行うアプリが一時、利用できなくなりました。

銀行のシステム障害が相次いだのはなぜなのか。
関連はあるのか。
サイバー攻撃による可能性は?

これまでの取材で明らかになったことを詳しくお伝えします。

Q:サイバー攻撃の可能性は?

松野官房長官は午後の記者会見で「金融庁への報告によれば、今回の障害の原因はサイバー攻撃の可能性は低く、『全銀システム』と金融機関をつなぐシステムを先週末に更改したことに伴い生じた不具合と考えられる」と述べました。

また、全銀ネットもサイバー攻撃の影響ではないとしています。

Q:「全銀ネット」どんなシステム?

全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」は、全国銀行協会の関連組織で、金融機関どうしの資金取り引きをオンライン処理する「全銀システム」=全国銀行データ通信システムを運営しています。

この「全銀システム」は全国1100以上の金融機関をネットワークで結ぶ基幹システムで、1日平均およそ770万件、金額にして13兆円あまりの取引データを処理しているということです。

システムは平日の午前8時半から午後3時半までの入金に対応した「コアタイムシステム」と、平日の夜間と土日や祝日に対応する「モアタイムシステム」の2つのシステムで構成され、取引データが金融機関の間でやりとりされる振り込みなどのデータを集中的に処理し、ほぼリアルタイムで受取人の口座に資金が入金される「迅速性」が最大の特徴だとうたっています。

Q:システム障害発生 その時に何が?

システムを運営する全銀ネット=「全国銀行資金決済ネットワーク」によりますと、今回の不具合は「全銀システム」と各金融機関をつなぐ中継コンピューターの部分で発生したということです。

全銀ネットは、9日までの連休中に新しい中継コンピューターに更新し、14の金融機関と接続する作業を行っていたということで、10日の朝、夜間に稼働するシステムから日中向けのシステムに切り替えたところ、午前8時半ごろ障害が発生したことがわかったということです。

10日から復旧作業を続けていますが、11日朝までにシステムの正常化の見通しが立たたなかったため、全銀ネットは他行宛ての振り込みができなくなっている11の金融機関について、代替手段での対応を続けています。金融機関が取り引きデータをファイルで全銀システムに直接持ち込んだり、送ったりして処理する方法で、通常の取り引きより時間がかかるとしています。

今回の不具合の原因について全銀ネットは、中継コンピューターに整備されている取り引きにかかる費用をチェックする機能に問題があった可能性があるとしています。

ただ、この機能についてはシステムを利用する金融機関の参加も得ながら稼働に向けたテストを行ったということで、全銀ネットは、なぜ今回の不具合の復旧に時間がかかっているのか要因分析を行うとしています。

システムは1973年に稼働を始めましたが金融機関の顧客の取り引きに影響を及ぼす形で不具合が発生したのはこの50年間で初めてだとしています。

Q:ゆうちょ銀行のシステム障害との関係は?

ゆうちょ銀行は、10日朝、インターネットやスマートフォンのサービスでシステム障害が発生し、
▽インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」と、
▽スマートフォン決済の「ゆうちょPay」は、その後、復旧したものの、
▽スマートフォン上で残高確認や送金を行う「ゆうちょ通帳アプリ」は11日になっても利用できない状態が続いていました。

会社によりますと、復旧作業を進めた結果、11日午後6時ごろにはこのアプリのサービスの不具合も解消し、全面的に復旧したということです。

ゆうちょ銀行は、今回の障害は社内のシステムで発生したものであり、全銀ネット=全国銀行資金決済ネットワークが運営するシステムの不具合とは関連はないとしています。そのうえで、このアプリのサービスの不具合は、サーバーの不調が原因とみて調査を進めているということです。