核実験禁じるCTBT ロシアで批准の撤回に向けた動き

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアでは、CTBT=包括的核実験禁止条約について、批准の撤回に向けた動きが出ています。ロシアの外務次官は「批准に関する条文を取り消す法案を提出すべきだ」と述べ、アメリカへのけん制を強めています。

ロシアではプーチン大統領が今月5日にCTBTの批准を撤回して新たな核実験に踏み切る可能性を示唆したことを受けて、議会下院の議長が9日、批准を撤回するかどうか、下院の国際問題委員会で検討するよう指示したと発表しました。

これについて議会下院のスルツキー国際問題委員長は10日、記者団に「関連法案はすでによく練られており、期限の今月18日には法案を提出できるだろう」と述べました。

また、リャプコフ外務次官は10日、ロシアの通信社に対し、アメリカが条約を批准していないことに触れ「ロシアも批准に関する条文を取り消す法案を提出すべきだ」と述べ、アメリカと均衡を保つ必要があるという考えを強調し、けん制を強めています。

プーチン大統領は10日、首都モスクワを訪問したイラクのスダニ首相との会談で「ウクライナ危機が続き、中東情勢は急激に悪化している。中東におけるアメリカの政策の明らかな失敗例だ」と述べ、アメリカを批判しました。