イスラエル軍 ハマスの幹部2人殺害を発表 攻撃の応酬が激化

イスラエル軍はイスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区に激しい空爆を続けていて、10日、ハマスの幹部2人を殺害したと発表しました。
一方、ハマス側もイスラエル南部に向けて多数のロケット弾を発射するなど双方の攻撃は激しさを増しています。

イスラエル軍 ハマスの幹部2人殺害を発表

ガザ地区に激しい空爆を続けているイスラエル軍は10日、ハマスの幹部2人を殺害したと発表しました。イスラエルのガラント国防相は「われわれは攻撃を空から始めていて、今後は地上からも攻撃をするだろう」と述べて、地上での侵攻に向けて準備していることを示唆しました。

一方、ハマス側は10日午後、イスラエル南部のアシュケロンや最大の商業都市テルアビブの住民に対して、大規模な攻撃を行うとの警告を出したうえで、一斉にロケット弾の発射を始めました。

地元のメディアはアシュケロンで住宅地などにロケット弾が着弾した様子を伝えていて、けが人がいるとの情報も出ています。

これに対して、イスラエル軍もすぐさま反撃に乗り出しガザ地区に空爆を加えていて、双方の攻撃は激しさを増しています。

今月7日以降これまでにイスラエル側では少なくとも1000人、ガザ地区では900人が死亡し双方での死者はあわせて1900人を超えています。

ニューヨーク イスラエル支持する1万人規模のデモ

イスラエル国外で世界最大規模とされるユダヤ人コミュニティーがあるアメリカ・ニューヨークで、10日、イスラエルを支持するデモが開かれました。

警察によりますと、およそ1万人が集まり、イスラエル国旗を身にまとった参加者たちは誘拐された人だとする写真を掲げながら「ハマスは人間の盾を使うのをやめろ」などと訴えていました。

イスラエルに家族がいるという男性は「イスラエルで、われわれの仲間が極めて野蛮な方法で虐殺された。本当に恐ろしい、予測のできない時代で、私にできることは同じように恐怖を感じている人たちと一緒に祈ることだ」と話していました。

デモが行われたニューヨーク中心部の道路には人があふれ、長時間にわたって通行止めになる事態となりました。

パレスチナで支援活動のNGO“犠牲になっているのは市民の命”

パレスチナで支援活動を行っている日本のNGOは、「犠牲になっているのは市民の命であり、即時停戦を求めるよう日本政府を通じて声を届けてほしい」と訴えています。

パレスチナのガザ地区などで女性や子どもなどへの支援活動を行っているNGO、JVC=日本国際ボランティアセンターのエルサレム事務所で代表を務める木村万里子さんがNHKの取材に応じ、「これまでもハマスがロケット弾を発射することはありましたが、今回はハマスの戦闘員がイスラエル領内に入って人質を取るなど、これまでと大きく違うと思う」と話していました。

一緒に支援を行ってきたガザ地区のNGOのメンバーとは定期的に連絡を取り合い、無事が確認できているということですが、「攻撃があった初日の夕方のやりとりの中で、『夜もちゃんと眠れるといいね』とメッセージを送ったのですが、『私もそう願ってるけれどもそれは無理だと思う』という返事が来ました。その後も夜は眠れないから攻撃が少ない昼間に眠るようにしているそうです」と話していました。

さらに、ガザ地区では病院も被害を受けており、多くのけが人が搬送され医薬品などが不足していて現地の医療関係者から支援の要請が届いているということで、「医療関係者で犠牲になってしまった方もいる中で、それでも医療従事者の方たちはけがをされた人たちを必死の思いで懸命に治療している状況です。今は直接医薬品を届けることができない状態ですが、現地で活動が再開できる状況になったらすぐに支援ができるように準備を進めています」とと話していました。

そして木村さんは、「戦っているのはハマスとイスラエル政府だが、犠牲になっているのはイスラエル・パレスチナの市民一人ひとりの尊い命です。私たち自身で争いを直接止めることは難しい状況ではありますが、日本の方たちには即刻停戦を求めることを両者に働きかけてもらうよう、日本政府に声を届けてほしい」と呼びかけました。