NHK 2024年度から3か年の経営計画の案まとめる

NHKは、来年度・2024年度から3か年の経営計画の案をまとめました。公共放送として、信頼できる基本的な情報を提供する役割を果たし、多様なコンテンツを放送とデジタルで展開する方針を示す一方、構造改革を進め、今月から1割値下げした受信料額を堅持するとしています。

NHKは10日、2024年度から2026年度までの3か年の経営計画の案をまとめ、経営委員会で意見募集を行うことを決めました。

案の中では、まず、公共放送の役割として、自然災害の激甚化や「フェイクニュース」の問題、それにロシアによるウクライナ侵攻などが起きる中、健全な民主主義の発達に向けて、信頼できる基本的な情報の提供=「情報空間の参照点」の提供と、民主主義の基盤である多角的な視点=「信頼できる多元性確保」への貢献を打ち出しています。

そのうえでコンテンツ戦略として「デジタルと放送が連携して 災害時になくてはならない命綱に」なることや「世界で輝く 良質な教育・幼児子どもコンテンツ」など6つの柱を掲げ、多様なコンテンツを放送とデジタルで展開するとしています。

また、コンテンツの質と量を確保し、厳しいインフレや財政状況の中でも、今月から1割値下げした受信料額を堅持するとしています。

一方で、設備投資の大幅な削減やあらゆる業務の見直しなど構造改革を進め、事業規模を段階的に縮小して事業支出を1000億円削減し、2027年度の収支均衡を目指すとしています。

そして、BSの2Kと4Kは、2024年度から3波を2波にし、ラジオは、2026年度から現在の3波を2波に整理・削減するとしています。

このほか、信頼されるNHKの組織運営に向けて、高い専門性に基づく現場力の強化や経営の意思決定プロセスの透明性の向上などに取り組むとしています。

森下経営委員長は記者会見で「計画案について、経営委員会では意見募集を行い、いただいた意見を真摯(しんし)に受け止め、視聴者・国民の皆様の期待に応えられるよう整理していく。今後とも主要課題などについては、執行部と引き続き検討を重ねていく」と述べました。

また、稲葉会長は「放送法で求められている健全な民主主義の発達に資するため、今後のあるべき姿を示すことができた。NHKは、日本はもとより、世界も含めて、人々が平和で豊かに暮らせる社会の実現に大きく貢献できる組織だと確信している。そうした役割を将来にわたって果たし続けていくために、この計画を着実に実行していきたい」と述べました。

意見募集は、11日から来月9日まで行われ、NHKでは、寄せられた意見なども踏まえ来年1月までに経営計画を決定することにしています。