イスラエル ハマス侵入の南部制圧と発表 双方の死者1600人超に

イスラム組織ハマスへの報復作戦を進めるイスラエル軍は10日、ハマスが実効支配するガザ地区への空爆を続けるとともに、ハマスの戦闘員などが侵入した南部の地域を制圧したと発表しました。双方の死者は合わせて1600人以上にのぼっていて、ガザ地区では空爆によって避難を強いられる人が急増しています。

イスラエル軍は、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによる大規模な越境攻撃への報復として、ガザ地区に激しい空爆を続けています。

イスラエル軍などによりますと、これまでにイスラエル側では少なくとも900人が死亡し、およそ2700人以上がけがをしたほか、100人以上がハマスの人質になっているということです。

一方、パレスチナの保健当局によりますとガザ地区でこれまでに770人が死亡し、およそ4000人がけがをしたとしていて、双方の死者は合わせて1600人以上にのぼっています。

イスラエル軍の報道官は10日、ガザ地区に空爆を続けているとした上で、ハマスの戦闘員などが侵入した南部の地域を制圧したと発表しました。

そして「テロリストのインフラを完全に破壊した。何千もの標的を攻撃し、何百トンもの爆弾を投下してきた。最大限の被害を与え続けている」と述べ、空爆とともに海上からもガザを包囲し、報復作戦を続ける方針を示しました。

また、イスラエルのカッツエネルギー相は10日、SNSに「ガザ地区への電力供給は終わる。燃料の備蓄がなければ数日以内に地区の電力はなくなり、井戸水も1週間以内にくみ上げられなくなるだろう」と投稿し、圧力を強めています。

ガザ地区の状況についてOCHA=国連人道問題調整事務所は9日、家を破壊されたり、被害を受けたりして学校や親戚の家などに避難している人が18万7000人以上に上り、さらに増え続けるとみられ、食料などの支援が急務だと指摘しています。

一方、イスラエルの隣国レバノンの首都ベイルートにあるハマス事務所の報道官は9日、NHKの取材に応じ「イスラエルが空爆や地上戦を展開することは想定していて、それに対応する用意がある。私たちは今後もサプライズを起こすだろう」と述べ、イスラエルがガザ地区への攻撃を激化させれば激しい抵抗を受けることになるとけん制しました。