JR東日本 “列車内へ持ち込み禁止の危険物 改めて周知”

9日に、東北新幹線の車内で乗客のかばんから薬品が漏れて6人が病院に搬送されたトラブルを受け、JR東日本の深澤社長は、列車内への持ち込みが禁止されている危険物について、改めてポスターや構内放送を通じて周知していく考えを示しました。

9日に仙台駅付近を走行していた東北新幹線の車内で、乗客のかばんから薬品が漏れ、5歳の子どもら4人がやけどをしたほか、2人が体調不良を訴えて病院に搬送されました。

薬品は、乗客の会社員が仕事に使うため、ペットボトルのような容器に入れて持ち込んだもので、現場で調べたところ、硫酸の可能性がある成分が検出されたことが消防への取材でわかっています。

当時の対応について、JR東日本の深澤祐二社長は10日の定例会見で「今後、検証したいが、まず現場に駆けつけた車掌からの情報が、運転士や指令に共有され、駅に停車したあと速やかに対応できたと思う」と述べました。

JR東日本は、列車内への危険物の持ち込みについて規則を設けていて、硫酸などは密閉した容器に入れ、破損するおそれのないようにした500ミリリットル以内のもの以外は禁止しています。

これについて深澤社長は「飛行機のような全員への手荷物検査は難しい」としたうえで、ポスターや構内放送を通じて改めて周知していくほか、今後、警備犬の配置なども検討する考えを示しました。

専門家「持ち込み禁止の危険物 改めて発信を」

鉄道の安全対策に詳しい関西大学の安部誠治 名誉教授は「走行中の新幹線の中で持ち込んでいた薬品が漏れて複数の乗客が負傷したケースは非常に珍しい。仕事として薬品を運ぶ場合は多くの人が利用する新幹線ではなく、自社の車や専用車などで運ぶことが適当だ。今回、漏れた原因を調べ、新幹線に持ち込むべきでない危険なものであれば、同じような会社などに対しても持ち込まないことなどルールを守るよう改めて呼びかける必要がある」と指摘しています。

また、同様のトラブルを防ぐための安全対策について、新幹線で手荷物検査を行うことはコストや運行への影響の面で現実的ではないとしたうえで「鉄道事業者も持ち込みを禁止している危険物について駅構内にわかりやすく掲示するなど広報を強化するほか、利用する側も安全に利用するため自分の手荷物が持ち込んでいいものかどうかしっかり確認する必要がある」と話しています。