杭州アジア大会が閉幕 日本は188個のメダル 若手選手の活躍も

中国の杭州で行われたアジアのスポーツの祭典、アジア大会は8日に閉会式が行われ、次回、3年後の開催地である愛知県と名古屋市に大会旗が引き継がれて、16日間にわたる大会の幕を閉じました。

杭州アジア大会は先月23日に開幕し、45の国と地域から選手が参加して40の競技が行われました。

閉会式は日本時間の8日午後9時から行われ、入場行進では、ブレイキンで金メダルを獲得したダンサーネームShigekix(シゲキックス)の半井重幸選手が日本の旗手を務め国旗を持って笑顔で登場しました。

そして、OCA=アジアオリンピック評議会のシン会長代行が閉会を宣言したあと、次回2026年の開催地である愛知県の大村知事と名古屋市の中田副市長が大会旗を受け取りました。

このあと名古屋市出身の映画監督、堤幸彦さんが総監督を務めた愛知での大会をPRするパフォーマンスが行われ、バイオリニストの葉加瀬太郎さんの演奏などの映像が流されたほか、ダンスも披露されました。

最後に大会の火が消され、16日間にわたる熱戦の幕が閉じました。

今回の大会で日本が獲得した金メダルの数は52個で、前回2018年のジャカルタ大会と比べて23個少なくなりました。

中国をはじめアジアの競技レベルが上がるなか来年のパリオリンピックに向けて各競技でどう強化を進めていくか注目されます。

日本のメダルは188個

日本は今回のアジア大会で、金メダル52個、銀メダル67個、銅メダル69個の、あわせて188個のメダルを獲得しました。

これは前回2018年のジャカルタ大会と比べて、金メダルでは23個、メダル総数では17個、いずれも減りました。

最も金メダルが多かったのは201個の中国で、メダル総数も383個と大きく差をつけられました。

今回の大会は、一部の競技で来年のパリオリンピックの出場権が争われ、パリ大会の新競技、ブレイキンの男子では、ダンサーネームShigekix、半井重幸選手が金メダルを獲得し、代表に内定しました。

さらに、ボクシングの男子ライトミドル級では、岡澤セオン選手が日本選手として29年ぶりの金メダルを獲得し代表に内定しました。

また、若手選手の活躍も随所に見られ、レスリング女子53キロ級では、藤波朱理選手(19)が金メダルを獲得し、公式戦の連勝を「130」に伸ばしました。

アーバンスポーツでも、スポーツクライミングのボルダー&リードで男子の安楽宙斗選手(16)と、女子の森秋彩選手(20)が、スケートボードの女子パークで中学生の草木ひなの選手(15)がそれぞれ金メダルを獲得しました。

このほか団体競技では、サッカー女子やハンドボール女子、水球男子などで金メダルを獲得し水球男子は3大会連続となるオリンピック出場権をつかみました。

苦戦の競泳陣 パリ五輪に向け「お家芸」の立て直しは

今回のアジア大会で苦戦を強いられたのが競泳陣でした。獲得したメダルは30個で、このうち金メダルは5個。

前回2018年のジャカルタ大会では、19個の金メダルを含む52個のメダルを獲得していましたが、来年のパリオリンピックへ向け課題を残す結果となりました。

日本の競泳陣は、ことし7月に福岡市で行われた世界選手権で獲得したメダルが2個に終わり、パリオリンピックを来年に控えるなかで強化の再考を迫られました。

それに加え、多くのメダリストを育てた平井伯昌氏が強化方針の食い違いなどからアジア大会へのコーチとしての参加を辞退、選手側からも強化策やリレーの選手の選定方法などへの不満が噴出するなど、異例の事態が続きました。

こうした状況を受けて、日本水泳連盟は選手やコーチとの話し合いの場を設けて、コミュニケーション不足の解消などを進めていく方針を示しました。

アジア大会直前の合宿ではミーティングを増やすなどの改善策も進め、日本代表の横山貴ヘッドコーチは「選手と連盟の間でくすぶっていたことが出てきて私たちも考える機会になった。課題をもう1回、国際大会で立て直す」と話し、再スタートの場としてアジア大会に臨みました。

男子の新キャプテンに選ばれた本多灯選手が400メートル個人メドレーと200メートルバタフライで2冠を達成して貫禄を見せ、女子のキャプテンとなった前回大会6冠の池江璃花子選手も50メートルバタフライで銅メダルを獲得し、病気の復帰からの着実な前進を印象づけました。

その一方で、獲得した金メダル数は5個と前回大会から大きく落ち込み、大会直前にチーム内でインフルエンザなどによる体調不良者が相次いだこともあって、28個もの金メダルを獲得した中国との大きな差を突きつけられる結果となりました。

開幕まで1年を切ったパリオリンピックへ向け、「お家芸」と呼ばれる日本の競泳をどう立て直していくかが急務となっています。