“精神科病院での身体拘束 上限制定を” 看護師ら厚労省に要望

精神科病院などで不必要な身体拘束が相次ぎ、患者の人権が守られていないとして、看護師らが改善を求める医療従事者の会を立ち上げ、国に対し拘束時間の上限を定めることなどを求めました。

6日、精神医療の現場で働く看護師や作業療法士など4人が厚生労働省で会見し、不適切な身体拘束をなくしていくため、医療従事者の会を立ち上げたと明らかにしました。

身体拘束は、医師の指示のもと、切迫性があり代替手段がないやむをえない場合に限って、一時的に行うことが認められていますが、会見では
▽スタッフが少ないという理由での拘束や、
▽患者が落ち着いても長期に続けるケースのほか、
▽懲罰的に身体拘束が用いられる事例などがあると説明しました。

会の代表で、都内の精神科病院で働く看護師の浅野暁子さんは「ベッドに縛る身体拘束が2か月間行われた患者が、直接的な理由は分からないが亡くなった事例にも直面し、現状を変えたいと会を立ち上げた。外から見えにくい実情を広く知ってもらいたい」と訴えました。

現在、厚生労働省が身体拘束の要件の見直しを検討していることについても、見直しの内容によってはさらに患者の人権を制限しかねないとして、
▽1日の身体拘束の上限時間を定めることや、
▽過剰な拘束を防ぐため医師の裁量を小さくすることなどを求める要望書を、厚生労働省に提出したということです。