巨人 阿部慎之助新監督が就任会見 原前監督と同じ背番号「83」

プロ野球 巨人の新監督に今シーズン原辰徳前監督(65)の下でヘッド兼バッテリーコーチを務めた阿部慎之助氏(44)が就任し、記者会見で「とにかく強い巨人軍、愛される巨人軍を必ずつくっていく」と意気込みを述べました。

記事後半では、ユーモアあふれる阿部慎之助 新監督の記者会見の様子も詳しくお伝えしています。

巨人では初 キャッチャー出身の監督が誕生

今シーズン、3年連続で優勝を逃し2年連続で4位に終わった巨人は、シーズン最終戦となった4日の東京ドームでの試合後のセレモニーで原前監督が今シーズンかぎりで辞任することを明らかにするとともにヘッド兼バッテリーコーチを務めた阿部慎之助氏に後任を託すと表明しました。

阿部新監督は6日夕方、都内で行われた記者会見に原前監督、山口寿一オーナーと出席し「すばらしい大監督からバトンを受け継ぐことになり、身の固まる思いだ。選手としてもコーチとしてもずっとお世話になり、改めて感謝したい」と、まず原前監督への感謝を述べました。

そして「とにかく強い巨人軍、愛される巨人軍を必ずつくってファンの皆さんにいい報告ができることを約束する」と来シーズンに向けた抱負を述べました。

また原前監督は「私の気持ちは一点の曇りもなく晴れ晴れ、新生ジャイアンツをとにかく応援するし、健闘と成功を祈るばかりだ」とエールを送りました。

阿部監督は3年契約で、巨人では初めてのキャッチャー出身の監督となり、背番号は阿部新監督の希望もあり原監督から引き継いで「83」に決まりました。

巨人は今月14日から秋季練習を行う予定でチームは阿部監督のもと新たなスタートを切ることになります。

阿部新監督 強打のキャッチャーとして通算2132安打 HR406本

阿部新監督は千葉県出身。東京の安田学園から中央大に進み、強打のキャッチャーとして2001年にドラフト1位で巨人に入団しました。
1年目からレギュラーとしてプレーし、2007年からはキャプテンも任され8シーズンにわたってチームを引っ張りました。

ゴールデン・グラブ賞を4回受賞している阿部選手ですが守備以上に高く評価されたのが非凡なバッティングセンスで、守りの負担が大きいキャッチャーでありながら、巨人の4番を任され、球界を代表するスラッガーとして活躍しました。

2012年には首位打者と打点王の2冠に輝き、セ・リーグの最優秀選手に選ばれ、その後、巨人の生え抜きとしては川上哲治氏、長嶋茂雄氏、王貞治氏、柴田勲氏に次ぐ5人目の通算2000本安打を達成しています。

また、日本代表としてオリンピックはシドニーと北京の2つの大会に出場したほか、WBC=ワールド・ベースボール・クラシックにも2回メンバーに選ばれ、第3回大会では4番キャッチャーでキャプテンも務めました。

通算成績は、2282試合に出場して打率2割8分4厘、2132安打、ホームラン406本、打点1285です。

2019年の引退後は2軍監督や1軍作戦兼ディフェンスチーフコーチを歴任し、今シーズンはヘッド兼バッテリーコーチを務めました。

“来シーズンは『アレ』ではなく『アベ』で盛り上がりたい”

40分余りにわたって行われた記者会見の中で、阿部新監督は4年ぶりの優勝への思いや背番号を希望した理由、それにユーモアあふれる決意表明などを語りました。

通算17シーズンにわたりチームを率い、巨人では史上最多の勝ち星を挙げた原辰徳監督から後任として指名された阿部新監督は、大役を引き受けることを即答したということですが、会見冒頭のあいさつでは「監督を引き受けていいものか自問自答した」とその後、気持ちが揺れ動いたことも明かしました。

それでも決意を固めた理由について質問されると「本当に僕でいいのか重圧を感じていたが、決め手となったのは監督室で原監督が笑顔で『慎之助でよかった』と言って下さった。自分を決心させてくれる最高のことばでした」と話しました。

そして、来シーズンの目標については「優勝ということばを自分でも意識して口に出していこうと思っています。勝ちに貪欲になって勝ち星を重ねていきたいです。若い選手も多いし、優勝経験のない選手も多数います。そういう選手に勝つ喜び、優勝する喜び、すべてを感じてもらいたい。そのためにまず自分自身が変わる。そうすれば選手たちも僕を見ているのでそこからがスタートになると思っています」と力強く抱負を述べました。

また、阿部新監督は来シーズン、原前監督がつけている背番号「83」を希望したことを明らかにしました。

2019年 秋季キャンプ

その理由を聞かれると「おそれ多かったが意を決してお伺いを立てました。そのときも笑顔で答えていただきました。ジャイアンツの伝統を受け継ぐとともににやはり原監督の『8』と僕が入団当時の監督だった長嶋茂雄さんの『3』、この2つ、大きな背番号だと思って監督にお願いしたところです」と説明しました。

原前監督も「何日か前に監督室にきて『83』にしたいと言われ、僕はうれしかった」と笑顔を見せていました。

また、原前監督は今シーズン、ヘッドコーチを務めていた阿部新監督が先発メンバーの素案を作っていたことを明らかにし「慎之助の意見を聞いてそれでいこう。それともここはこういう形にしようというのは最後まで変わりませんでした」と話し、自身の後継者として育てようとしていた舞台裏を明かしました。

そして、阿部新監督はファンに向けて「最高のファンの皆様とともに喜びをセプテンバー(9月)に味わえればうれしいです」と現役時代の登場曲だった「セプテンバー」にちなんで優勝への思いを口にするとともに「来シーズンは『アレ』ではなく『アベ』で盛り上がりたいと思います」と今シーズン、阪神の優勝を表すことばとして話題となった“アレ”を引き合いに出しユーモアをまじえて意気込みを述べました。