NHK「きょうの料理」 ギネス世界記録 放送開始から65年

放送開始からことしで65年目となるNHKの「きょうの料理」がテレビの料理番組としては最長の放送としてギネス世界記録に認定されきょう認定証の贈呈式が行われました。

東京・渋谷のNHK放送センターで行われた贈呈式では、司会の後藤繁栄アナウンサーら番組スタッフにギネス世界記録の認定証が手渡されました。

テレビの料理番組としては最長の放送として認定された「きょうの料理」は1957年11月4日に放送が始まり、これまでにおよそ4万6600のレシピが紹介されてきました。

その料理の数々は常に時代の変化を反映し、レシピの材料は番組が始まった当初は5人分の表示でしたが、核家族化が進み、1965年には4人分に、現在は2人分になっています。

番組が始まった1950年代の日本は4人に1人が栄養失調だとされた時代で、特に洋食への憧れが強く、最初に紹介されたレシピは、海の幸のかきを使った洋風のカレーライスでした。

1970年代にはオイルショックによる不況で献立の予算が「4人分500円」を目安に作られたほか、1980年代以降、女性の社会進出が進むと「時短レシピ」や「男の料理」シリーズなどの企画が評判を呼びました。

ことし9月「土井善晴のふつうにおいしいもん」

番組を30年以上担当する矢内真由美チーフプロデューサーは、「料理が主役で、健康なレシピを届けたいという思いで65年間続いてきた番組です。今夜の晩ごはんは何を食べようかなという皆さんの永遠のテーマに誠実に応える番組でありたい」と話していました。

時代を映した料理の変遷

65年間続いてきた「きょうの料理」。
世の中のニーズにあわせて紹介する料理のレシピは、大きく変化を遂げてきました。

《憧れだった洋食》

番組が始まったのはまだ「テレビ・洗濯機・冷蔵庫」が3種の神器と言われていた1957年。

初めて紹介された料理は海の幸のかきを使った洋風のカレーライスでした。

当時は和食のおかずが当たり前で、憧れる人が多かった洋食や中華のレシピを多く紹介していたそうです。

《核家族化で料理に変化》

核家族化が進んだ1960年代には求められる料理が変わります。

1967年の12月、初めておせちの作り方を紹介した「正月料理」特集が大きな反響を呼びました。

母親などからおせちの作り方を教えてもらう機会がどんどん少なくなっていました。

《飽食の時代に成人病食レシピも》

消費生活が豊かになっていった1970年代には、肥満や成人病が社会問題となり、「成人病予防レシピ」と題して高血圧を予防するレシピが話題を呼びました。

《共働き・時短レシピへ》

1986年に男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が進んでくると共働き家庭のための企画が次々に出てきます。

忙しい人のためにと講師の小林カツ代さんが考案し1995年に始まったのが「20分で晩ごはん」。

1995年 「20分で晩ごはん」

番組の時間内に献立をすべて作り切るという当時としては斬新な企画で現在も続く人気のコーナーです。

また、男性も台所に入る時代となり、「男の料理」シリーズと題して俳優の岡田眞澄さんや映画監督の大林宣彦さんなどそうそうたる料理自慢の男性陣が腕前を披露しました。