中国向け水産物 8月の輸出額 前年同月を65%下回る

ことし8月の中国向けの水産物の輸出額は前の年の同じ月を65%下回り、2か月連続で減少しました。
中国が福島第一原発の処理水の放出に反発し、水産物の検査強化や輸入停止を行ったことが影響しました。

農林水産省の発表によりますと、ことし8月の中国向けの水産物の輸出額は36億円と、前の年の同じ月を65.7%下回りました。

中国は福島第一原発にたまる処理水の海への放出に強く反発し、7月から水産物の検査を強化したうえ、8月24日の処理水の放出以降は、日本産の水産物の輸入を全面的に禁止しました。

こうした措置によって主な輸出品目のホタテやナマコの輸出が大きく減少したことが要因です。

中国は日本にとって水産物の最大の輸出先ですが、前の年を下回るのは2か月連続となり、全面的な輸入停止の影響が出る9月分はさらに悪化することが見込まれます。

政府は中国に代わる新たな輸出先の開拓を進める方針ですが、8月の世界全体への水産物の輸出は288億円と、前の年の同じ月を8.2%下回り、中国の落ち込みをほかの国への輸出で補うことはできていません。

政府は中国に対し、規制の即時撤廃を求めていますが、こうした取り組みと合わせて、水産事業者への緊急支援策としてまとめた総額1000億円余りの支援メニューを速やかに実行に移すことが求められそうです。