コロナ給付金“性風俗業は対象外” 憲法に違反せず 東京高裁

新型コロナの経済対策として行われた国の給付金制度で性風俗業が対象外とされたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、事業者が国を訴えた裁判の2審で、東京高等裁判所は「給付対象にすると、国民の理解を得るのが難しいと判断した理由には合理性がある」として、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、訴えを退けました。

関西地方の性風俗事業者は、新型コロナの影響を受けた事業者に国が支給する「持続化給付金」や「家賃支援給付金」の制度の対象から外されたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張して、国などに賠償と給付金の支給を求めました。

1審の東京地方裁判所は去年、「性風俗業の特徴は、大多数の国民の道徳意識に反するもので、異なる取り扱いをすることには合理的な根拠がある」として、憲法には違反しないと判断し、訴えを退けました。

5日の2審の判決で、東京高等裁判所の松本利幸裁判長は「給付対象とすると、国民の理解を得るのが難しいと判断した理由には合理性がある。性のあり方に関する価値観は多様化しているが、性風俗業を公的に認めるのは相当ではないとする考えが失われたわけではない」として、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、事業者の訴えを退けました。

弁護団「最高裁はきちんと向き合い検討を」

判決について弁護団の亀石倫子 弁護士は「2審では性に関する意識について大規模な世論調査を行ったり専門家の意見書を出したりして社会や国民の意識の変化を主張してきたが、裁判所はこうした点について説得的な理由を示さずに退けた。なぜ性風俗事業者を給付の対象としないことが正当化されるのか、最高裁にはきちんと向き合って検討してほしい」と述べ、上告する方針を明らかにしました。

また、訴えを起こした関西地方の事業者は「裁判所はパンデミックの苦しさやつらさを見ようともせず、そこで懸命に生きる人を無視して、世の中にはびこる差別心を優先した」としています。