EU 中国製EVの調査開始 “国の補助金で市場競争ゆがめている”

EU=ヨーロッパ連合は、中国製のEV=電気自動車が、国からの補助金で価格を抑え、ヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみて、中国製のEVに対して正式に調査を始めたと発表しました。中国側は強く反発しています。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は4日、中国から輸入されるEVについて、正式に調査を始めたと発表しました。

EUでは、中国製のEVが、国からの補助金で価格を抑え、ヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみていて、調査では、補助金の実態や、EUの電気自動車メーカーに損害を与えているかなどを調べるとしています。

EUのルールでは、外国からの補助金を受けた輸入品によって、EUの産業が不公正な競争にさらされ、損害を受けたと認定されれば、関税を上乗せするなどの措置をとることができます。

ヨーロッパ委員会は、調査は、EUとWTO=世界貿易機関のルールにそって行われ、中国政府やメーカーも意見や証拠を出すことができるとしています。

中国商務省は4日にコメントを発表し、「EUは主観的な臆測に基づいて調査を開始した。強い不満を表明する」と強く反発しています。

EU内からも、中国側の出方に対して警戒する声が上がっていて、自動車生産大国、ドイツのハーベック経済・気候保護相は9月に「ドイツの自動車産業は、EUが関税の上乗せなどを行ったら、中国側が対抗措置をとるのではないかと心配している」などと述べています。

中国商務省「WTOのルールに沿っておらず強い不満」

EU=ヨーロッパ連合が中国製のEVに対する調査を始めたことについて、中国商務省は4日、コメントを発表し「EUは主観的な臆測に基づいて調査を開始した。十分な証拠の裏付けもないうえ、WTO=世界貿易機関のルールにも沿っておらず、強い不満を表明する」と反発しました。

その上で「EUに対しては、EVの共通の発展のため、公正で、差別のない、予測可能な市場環境をつくり出すよう促す。中国は、EU側の調査手続きを注視し、中国企業の合法的な権利と利益を断固として守る」と主張しています。