【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 EUの首脳会議で一層の支援訴えへ

ロシアによる軍事侵攻が始まったあと、EU加盟国と周辺国が設立した「ヨーロッパ政治共同体」は5日、スペインのグラナダで首脳会議を開き、EU加盟国のほか、加盟を目指すウクライナやモルドバ、バルカン半島の国などからも首脳が集まっています。

ゼレンスキー大統領は5日、SNSでグラナダに到着したことを明らかにし「冬が近づく中、ウクライナにとって最優先課題は防空能力を強化することだ」としていて、ロシア軍によるインフラ施設への攻撃が強まる可能性のある冬を前に、防空能力の強化に向けた一層の支援を訴える見通しです。

また、EUはことし12月の首脳会議で加盟を求めるウクライナと交渉を始めるか協議することから、会議でゼレンスキー大統領は国内の改革の取り組みや成果を強調し、交渉開始に向けてEU各国に支持を訴えるものとみられます。

ウクライナへの支援をめぐっては一部で「支援疲れ」も指摘され、EU加盟国の国民の間でも支援の継続に温度差もあり、各国は今回の会議で改めて結束してウクライナを支える姿勢を示したい考えです。

EU加盟国 ウクライナ支援の継続に危うさも

EU=ヨーロッパ連合はロシアによる軍事侵攻を受けて、ウクライナに対し、人道や軍事、財政などで巨額の支援を行い、9月の時点で総額は810億ユーロ、日本円で12兆円規模にのぼるとしています。

今後も必要な限り支援を続けるとしていますが、侵攻が長引くなかで加盟国の国内事情を反映し、これまで通りの支援を続けられるか、危うさも見える状況となっています。

このうちポーランドは、EUの方針に反して9月からウクライナ産農産物の輸入を独自に禁止しました。こうした措置をウクライナが批判したのに対し、ポーランドのモラウィエツキ首相が「今後ウクライナに武器は送らない」と発言し、その後ドゥダ大統領が火消しを図る事態となりました。

ポーランドでは、10月に議会選挙を控えていて、首相の発言は農家などの支持を意識した動きの1つと見られていますが、ポーランドはロシアによる侵攻が始まった直後からウクライナへの支援を率先して行ってきただけに両国関係のきしみが注目されています。

またEUではことし春ごろからウクライナに対し、追加の軍事支援を行うため加盟国で協議を重ねていますが、ハンガリーの反対で合意に至っていません。ハンガリーの隣国スロバキアでも先月の議会選挙を受けてウクライナへの軍事支援の停止を訴え、ロシアへの制裁に反対する左派の野党が政権を握る可能性が出ています。

EUではウクライナへの軍事支援やロシアへの制裁などにはすべての加盟国の同意が必要で、加盟国の国内事情が今後の支援に影響を及ぼす可能性があります。

ウクライナ国防省「クリミアで特殊部隊が上陸作戦」と発表

ウクライナ国防省の情報総局は4日、ロシアが一方的に併合した南部クリミアで特殊部隊が上陸作戦を行ったと発表し、ロシア軍の空てい部隊に打撃を与えたとしています。情報総局の報道官は地元メディアに「部隊にも犠牲者は出たが任務を遂行し戻っている。ウクライナはクリミアを含む全ての占領地を必ず奪還する」と強調しました。

クリミアではウクライナ軍が巡航ミサイルや無人機でロシアの軍事施設などに対する攻撃を強めていて、9月22日にはロシア海軍の黒海艦隊の司令部を攻撃しました。

ロシア軍 クリミアから艦船を移動か 後退との見方も

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は3日の分析で、ロシアの黒海艦隊がクリミアのセバストポリからフリゲート艦や潜水艦など少なくとも10隻の艦船をロシア南部の海軍基地があるノボロシースクに移したという見方を示しました。ウクライナ側の一連の攻撃を受けて一時的に移動させた可能性があると分析しています。

アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルも4日、ロシアが複数の艦船をセバストポリから移動させたと報じ、「2014年にクリミアを占領したプーチン大統領にとって驚くべき後退だ」と伝えています。

英外務省 “ロシア軍 機雷などで民間船舶を標的に”

イギリス外務省は4日、最新の情報を分析した結果、ロシア軍が黒海に面したウクライナの港の周辺で、機雷などを使って民間の船舶を攻撃しようとしている兆候が見られるとして、警鐘を鳴らしました。

ロシア側にはウクライナ産の穀物の輸出を阻止してウクライナ経済に圧力をかけ続けるねらいがあるとした上で、民間の船舶が攻撃を受けた場合、ウクライナのせいにしようとしているとも指摘しました。

イギリスはことし8月にも、ウクライナ南部のオデーサの港に向け黒海を航行していたリベリア船籍の貨物船に対してロシア軍が複数のミサイルを発射し、このときはウクライナ軍が迎撃したことを先月明らかにしています。

イギリスのクレバリー外相は「ロシアが悪意を持って民間の船舶を標的にしていることは、プーチンが民間人の命や、世界中の最も弱い立場の人たちを完全に無視していることを表している。ウクライナ、そして世界全体に危害を加えようという企てに対し、われわれは同盟国と連携して立ち向かう」とコメントしています。

ウクライナ“黒海の臨時航路”利用拡大か

黒海沿岸にあるウクライナの港から穀物などの輸出が難しくなるなかウクライナ海軍は4日、臨時に設けた航路を使って新たに12隻の船舶がウクライナの港に入る見通しだと発表しました。

さらに、ウクライナの港からは同じ航路を使って10隻が目的地に向かう予定だということです。

これらの船舶が利用するのは、ロシアがことし7月に農産物の輸出を巡る合意の履行を停止したあと、民間の船舶が港に出入りできるように、ウクライナ側が黒海に臨時に設けた航路だとしています。

会見の中でウクライナ海軍の担当者は「船舶はルーマニアとブルガリア、トルコの領海を通過している」と述べ、航路がNATO=北大西洋条約機構の加盟国の領海を通っているため、ロシアの妨害などを受けずに安全な航行が可能になっているという認識を示しました。

ウクライナ海軍の今回の発表についてロイター通信は「航路を利用する船舶の交通量が、増加していることを意味しているもようだ」と伝えています。

ロシア国防省「ウクライナ軍のクリミア半島への上陸を阻止」

ロシア国防省は4日、黒海の海域でクリミア半島の西側の岬に向かうウクライナ軍の部隊を発見し、空軍が上陸を阻止したと主張しました。ロシア国防省は3日には、クリミア沖の黒海上空でウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」を迎撃したとも発表していて、双方の攻防が激しくなっているとみられます。

ウクライナ国防省「クリミアで上陸作戦 ロシア側に打撃」

ウクライナ国防省の情報総局は4日、ロシアが一方的に併合した南部クリミアに対して、特殊部隊が行った上陸作戦だとする映像をSNSに公開し「クリミアはウクライナとなる」と投稿しました。情報総局の幹部は地元メディアに対して、この作戦でロシア軍の空てい部隊に打撃を与えたと強調しています。