ノーベル化学賞 受賞者の名前が事前流出 前代未聞の事態に

ことしのノーベル化学賞をめぐっては受賞者のリストが誤って事前に流出するという前代未聞の事態も起きました。

スウェーデンの公共放送によりますと、現地時間の4日朝、発表のおよそ4時間前にノーベル賞の選考委員会からことしのノーベル化学賞の受賞者と受賞内容が書かれたメールが届いたということです。

同じメールは現地の複数の新聞社などにも送られていたということで、各社は受賞者の名前を一斉に報じました。

発表前にロイター通信の取材に応じた選考委員の1人は「まだなにも決まっていない」などとしていましたが、その後、行われた選考委員会の会見ではメールと同じ受賞者が発表されました。

公共放送は、こうした形で受賞者の名前が事前に流出することは過去に一度もなかったとしているほか、現地の新聞社は「非常に残念で恥ずかしいことだ」などと報じています。

選考委員会「非常に遺憾で深く反省」

ノーベル賞の選考委員会は、ノーベル化学賞の受賞者の名前や受賞内容が誤って事前に流出したことについて、記者会見で「非常に遺憾でこのような事が起こってしまったことを深く反省している」と述べました。

そして「原因不明だが、報道資料が送られてしまった。今朝、実際に何が起こったのかを突き止めようとしていたが、現時点で原因はわかっていない」としています。

さらに記者から報道資料が送られたのは、受賞者を決める会議の2時間前だったと指摘されると「会議は単なる形式的なものではなく、選考委員会全体で受賞者を決めている。けさもそうだった。情報は非常に早い段階で出てしまったが、決定するまではなにも決まっていない」と説明しました。

その上で「重要なことは、この事態が受賞者を選ぶ上で影響を及ぼさなかったことだ」と強調しました。

一方、ノーベル化学賞に選ばれた3人のうちの1人、バウェンディ教授は、記者会見で公式発表の前に問い合わせや知らせがあったかと記者から問われると「知らなかった。スウェーデン王立科学アカデミーの連絡で起きた。私は熟睡していた」と話していました。