米下院議長の解任動議可決 “歴史上初” 政府予算案で対立

アメリカ政府の新年度予算案をめぐって共和党内で対立が続く中、議会下院は共和党のマッカーシー下院議長の解任動議を可決しました。アメリカメディアは、下院議長の解任動議の可決は歴史上初めてだと大きく伝えていて、議会の混乱に拍車がかかっています。

アメリカ議会で政府の新年度予算案の協議が難航する中、下院で多数派を占める共和党のマッカーシー下院議長は先月30日、当面の予算執行を続けるための「つなぎ予算」の案をまとめ、民主党と協力して超党派での可決につなげ、政府機関の閉鎖がぎりぎりで回避されました。

これについて同じ共和党の保守強硬派の議員は「つなぎ予算」に保守強硬派が要求していた歳出の大幅な削減が盛り込まれなかったことに加え、民主党と協力したことを批判し、2日にマッカーシー議長の解任動議を提出しました。

下院で3日に採決が行われた結果、共和党議員8人に加えて民主党議員208人が賛成し、解任動議は賛成多数で可決されました。

共和党の多くの議員はマッカーシー議長の解任に反対しましたが、党内の一部の保守強硬派に加えて民主党も投票に出席した議員全員が賛成に回りました。

アメリカメディアは、下院議長の解任動議が可決されるのは歴史上初めてで、後任の議長が決まるまでの間、議会の機能は停滞すると大きく伝えていて、混乱に拍車がかかっています。

解任動議提出の共和党議員“トランプ氏と話し自信”

マッカーシー下院議長の解任動議を提出した共和党の保守強硬派、ゲーツ議員は、動議が可決されたあと記者団に対して「マッカーシー氏がきょう解任されたのは、誰も彼を信用していないからだ。彼はいくつもの約束をしてきたが、それが果たされないことが分かり、私と考えが異なる人の票も失ったのだ」と述べました。

そして、ここ数日の間、トランプ前大統領と話したことがあったと明らかにした上で「トランプ氏と話し、私は正しいことをしていると自信を持った」と述べました。

一方、トランプ氏は動議が可決される前、SNSに「なぜ共和党はいつも内部で争っていて、われわれの国を滅ぼしている過激な左派の民主党と闘わないのだろう」と投稿し、党内の対立に批判的な姿勢を示していました。

ホワイトハウス報道官「速やかに議長選出することを望む」

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は声明を発表し、「バイデン大統領は、アメリカ国民のために議会の民主・共和両党と誠実に協力することをつねに熱望していると表明してきた。わが国が直面する緊急の課題は待ったなしであり、バイデン大統領は議会下院が速やかに議長を選出することを望んでいる」としています。