岸田首相 “補正予算案は臨時国会で会期内の成立目指す”

岸田政権は4日、発足から2年となります。岸田総理大臣はNHKのインタビューに応じ、経済対策の裏付けとなる補正予算案について臨時国会に提出し、会期内の成立を目指す考えを示しました。また所得税などの減税策の必要性について、今後の与党の議論を踏まえ判断する方針を示しました。

この中で岸田総理大臣は、この2年間の政権運営について「数十年に一度起こるかどうかというようなできごとが次々と起こり、国内外で歴史的な転換点と言えるような状況を感じてきた。先送りできない課題に一つ一つ正面から取り組み、勇気を持って決断し、実行してきた2年間だった」と振り返りました。

そして、物価高を受けて今月末をめどに策定する新たな経済対策について、「給付であれ、税制であれ、社会保障負担の軽減であれ、あらゆる手法を駆使して目的を果たしていく対策にしたい」と述べました。

また、所得税などの減税策を行う考えはないか質問したのに対し、「供給面では賃上げ、あるいは設備投資における減税の議論を進めている。合わせて需要面においてもどのような対策が必要なのか与党で議論をお願いしているので、その議論を踏まえて判断していく」と述べました。

そのうえで、経済対策の裏付けとなる補正予算案について今月20日に召集される見通しの臨時国会に提出し、会期内の成立を目指す考えを示しました。

衆議院の解散については「今は経済対策をはじめ先送りできない課題一つ一つに一意専心、取り組んでいくことに尽きる。今、解散のことは考えていない」と述べました。

さらに来年の自民党総裁選挙については、直面する課題への対応に全力を挙げた上で「その結果として、さまざまな状況を判断していく」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、自民党内から「官邸と党の情報共有が十分行われなくなっている」という声が出ていることについて「官邸と党本部が意思疎通を図ることが大事なことは言うまでもない。だからこそ先日の内閣改造や党役員人事でも党と官邸がより緊密に連携できる体制を作った。この体制のもとに連携を引き続き深めていきたい」と述べました。

このほか、事務レベルで4年ぶりの開催に向け調整が進められている日本、中国、韓国の3か国による首脳会議について「日中韓サミットは地域の安定や課題を議論する大変有意義な場だと認識している。すでに早期の適切な時期に開催することで一致しており、その方針に基づいて検討したい」と述べました。

また国民民主党が自民・公明両党の連立政権に加わる可能性については「まずは自公連立の強い連携のもとにさまざまな政治課題に取り組んでいきたい。その上でそれ以外の政党とも政策協議など協力できる場面では協力していく。これはどの党であっても決して避けるものではない」と述べました。

「『聞く力』と『決断、実行する力』も求められる」

岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「政治において国民の声を聞く力が重要だと自民党総裁選挙の段階から申し上げ続けてきたが、政治には、『聞く力』とあわせて、決断し、実行する力も求められる。聞くだけで終わってはならず、国民のさまざまな声がある中でも勇気を持って決断し、実行して、結果を示せるかどうかも問われている」と述べました。

その上で「これからも『聞く力』は大事にしていきたいと思うが、あわせて、決断し、実行する政治の責任も果たしていくというバランスを心がけながら、国民の理解を得られるよう努力していきたい」と述べました。

自民 茂木幹事長「取り組み道半ば」

自民党の茂木幹事長は記者会見で「岸田政権は、防衛力の抜本的強化や新たな成長分野への投資の拡大、少子化対策などで大きな決定を行い実行に移している。外交面では、主要国の中で最も安定した政権基盤を背景に国際舞台でリーダーシップを発揮している」と述べました。

その上で「日本経済の再生などの取り組みは道半ばだ。大胆な改革を進め、内外の課題解決に取り組んでいきたい」と述べました。

立民 岡田「先送りする政権だ」

立憲民主党の岡田幹事長は記者会見で「何をやりたいのか分からない政権だと言われるが、そのとおりだ。少子化対策や防衛力の強化に必要な財源の話を先送りし、肝心なことをはっきり言わずに先送りする政権だ」と述べました。

その上で「補正予算案が成立したあとに衆議院の解散という可能性が高いと思っている。その際には、何のために解散するのか明確にするよう求めたい。自分たちにとって有利な時期の選挙になるとか、来年の自民党総裁選挙にとって有利だといった情けない理由で解散というのはありえないことだと申し上げておく」と述べました。

公明 山口代表「忍耐強く丁寧」

公明党の山口代表は記者団に対し「岸田総理大臣は、賃上げに取り組み、物価高に対応する中で経済のよいトレンドを今後も持続させようという意気込みを持っている。忍耐強く、丁寧に進めていくことが岸田内閣の持ち味なので、与党としてしっかり支えながら結束して国民の期待に応えていきたい」と述べました。

国民 玉木代表「日本をどこに導いていくのか」

国民民主党の玉木代表は記者会見で「新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻など、外的な変化への対応を余儀なくされた2年間だったが、一定の成果を上げているのではないか」と述べました。

一方で「来た球を打つのではなく、自分から道をひらいて実現するところがまだ弱い。『新しい資本主義』を掲げているが、何を目指して何を実現するものなのか、国民も岸田総理大臣も分かっていないと思う。日本をどこに導いていくのか堂々と訴えてもらいたい」と述べました。