覚醒剤使用したとして起訴の会社役員に無罪判決 東京地裁

覚醒剤を使用したなどとして起訴された会社役員の男性に対し、東京地方裁判所は「故意に使用したとは認められない」として無罪を言い渡しました。また、捜査をした警視庁の対応について「適正な捜査手続きに対する信頼を大きく害する事態だ」と厳しく指摘しました。

無罪を言い渡されたのは、会社役員の男性です。男性は3年前の1月、警視庁から車などの捜索を受け、任意で提出した尿から覚醒剤成分が検出されたため逮捕、起訴されました。

3日の判決で、東京地方裁判所の平出喜一裁判長は「男性側は、捜索中に覚醒剤が混じったペットボトルを意図せず飲んだことが原因だと主張していて、うそだと退けることは困難だ。覚醒剤を故意に使用したとは認められない」として無罪を言い渡しました。

また、警視庁の捜査員が男性に隠れて自宅周辺を撮影した動画のDVDのうち、一部が初期化されていたことに触れ、「捜査を担当した警察官は記憶がないと言うが、警察官の誰かが初期化したと推認できる。故意にデータを破損させる目的とまでは認められないにしても、重大な事が起きているのに警察官がその原因について真実を告げていないことは、適正な捜査手続きに対する信頼を大きく害する事態だ」と厳しく指摘しました。

判決について、東京地方検察庁の新河隆志次席検事は「判決内容を十分に検討して対処したい」としています。

警視庁「関係部署と連携し対応を検討」

判決について、警視庁は「判決の内容を確認した上で、関係部署と連携し今後の対応を検討していきたい」とコメントしています。