ジャニーズ事務所の方針に 経済界は慎重な姿勢続く

ジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐって、ジャニーズ事務所が2日、社名変更などの方針を明らかにしたことについて、経済同友会の新浪代表幹事は3日の記者会見で、「前進したと」と評価した一方で、所属タレントを起用した広告の契約再開には被害者の救済が進むかなどを見極める必要があるという認識を示しました。

経済同友会 新浪代表幹事 広告再開には慎重

この中で、新浪代表幹事は、ジャニーズ事務所が社名の変更や新会社を設立する方針を示したことについて、「まずは前進したと考えている」と述べ、評価する考えを示した一方で、「本当に、被害を受けられた方が救済されていくのか見届けないといけないし、新しい会社も再発防止のためにどういうガバナンスが行われていくか、しっかり見ていかないといけない」と述べました。

そのうえで、新浪代表幹事が社長を務めるサントリーホールディングスが、被害者の救済策などに関して十分な説明があるまでは、所属タレントの広告への起用に関し、契約を更新しないなどとしていることについて、「今後、被害者の救済などが納得いく形で進むことが大前提だ。そういった意味では、すぐに再開するモードにはなっていない」と述べ、所属タレントを起用した広告の契約再開には被害者の救済が進むかなどを見極める必要があるという認識を示しました。

企業は “従来の方針維持” 目立つ

ジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐって、ジャニーズ事務所は2日の記者会見で、被害者への補償や今後の会社の運営などについて説明しました。

これに対して、事務所に所属するタレントを広告などに起用していた企業の間では、いまのところこれまでの方針を維持するところが目立っています。

●現在CM起用を停止中

▽アサヒグループホールディングス
▽日産自動車
▽花王
▽第一三共ヘルスケアは、
ジャニーズ事務所に所属するタレントを起用したテレビCMなどの広告を現在、停止しています。

各社は、いまのところこの方針は継続するとしていて、今後、被害者への補償や再発防止に向けた具体的な対策の実行などを注視するなどとしています。

●契約中の広告を継続中

▽キリンホールディングス
▽サントリーホールディングスは
現在、契約中のタレントについて、テレビCMをのぞく広告への起用は継続しています。

そのうえで、新たな広告には起用しない方針に、いまのところ変更はないとしています。

●その他

日本マクドナルドは契約中のタレントの広告への現在の起用については回答できないとしています。

そのうえで、新たな広告には起用しない方針にいまのところ変更はないとしています。

●直接契約で対応

一方、事務所と契約はせずに、所属するタレントと個別に契約を結ぶ対応も出てきています。

▽P&Gジャパンは、事務所との契約をすべて終了し、新たにタレント4人と直接契約を結んだうえで、現在のテレビCMは放送を続けるとしています。

専門家 “あとはどこで判断できるか タイミングの問題”

企業統治に詳しい高田剛弁護士
「(2日の会見で)大きな道筋というか、指針というかそういうのはまあ示されたというふうに思います。企業も方向感としては見えた。あとは、どこでこれが出された方向にしたがって歩み始めたと判断できるかという、あとはタイミングの問題かなというふうに思っています」