南海トラフ巨大地震の被害想定見直しに向け災害時の医療を議論

南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しに向けた国の会合が開かれ、災害時の医療について、地域を支援する災害拠点病院の津波対策が不十分だといった指摘や、広域の被害に対応するため、医療機関の連携を強化する仕組みづくりを求める意見が出されました。

南海トラフ巨大地震の被害想定について、国は2012年に公表した内容の見直しを進めていて、2日は、災害時の医療について委員の専門家らが意見を交わしました。

この中で委員からは、災害時に地域の医療機関を支援する役割を担う災害拠点病院について、この10年で耐震化など地震への備えは進んだ一方、依然、津波への対策が不十分だといった指摘がありました。

また、別の委員からは、巨大地震や津波に伴って非常に広い範囲で被害が予想されることから、病院をはじめ、診療所など規模の小さな医療機関も含めて地域ぐるみの連携を強化する仕組みづくりが必要だといった意見が出されました。

ワーキンググループの取りまとめ役を務める名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「災害時の医療は、命を守るうえで最も重要な問題だ。新たな課題をきちんと整理して、今後どういう対策を進めていくべきか明確にする必要がある」と話していました。