京アニ事件裁判 証人尋問 社長「アイデア盗む会社ではない」

「京都アニメーション」の放火殺人事件の裁判で、京アニの社長の証人尋問が行われ青葉真司被告が「京アニに小説のアイデアを盗まれた」と主張していることに対して、社長は「ひとさまのアイデアを盗んだりできる会社ではない。被告の思い込みで事件が起き、断腸の思いだ」などと話しました。

青葉真司被告(45)は、4年前の2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオでガソリンをまいて火をつけ、社員36人を死亡させ、32人に重軽傷を負わせたとして殺人や放火などの罪に問われています。

これまでの裁判で、被告の弁護士は責任能力はなかったとして無罪を主張しています。

2日の証人尋問では、京都アニメーションの八田英明社長が証言台に立ちました。

八田社長は、青葉被告が「京アニに小説のアイデアを盗まれた」と主張していることに対しては、「ひとさまのアイデアを盗んだりできる会社ではない。みんな真面目に自分の頭で考えて打ち合わせをする会社で、だからこそ作品が世に出ていった。被告の思い込みで事件が起きてしまったことは本当に断腸の思いだ」などと話しました。

また、社長は、被告が小説を応募した年の応募作品の数は、全体で600以上あり、被告の作品は400字ほどのあらすじのみで審査される1次選考で落選したため、審査員が小説の中身に目を通すことは、まずないと説明しました。

このほか、消火設備などについて、京都市消防局の職員も証言し、
▼第1スタジオの構造や設備に法令違反はなく、
▼事件の前の年には消防の職員も立ち会い、火災に備えた消火や避難の訓練が行われていたことなどを明らかにしました。

被告の弁護士が、最も多くの人が亡くなった屋上に通じる階段について、段ボールが置いてあったことが避難の妨げになったのではないかと尋ねると、消防局の職員は「物が置かれていないほうが望ましいが、人が通れるのであれば違法とはしていない」などと答えていました。

八田社長は証言のあと取材に応じ、「事件から4年がたちようやく公判という形になって内心不安ではあるが、正々堂々とした判決が出るものと信じている」と話しました。

次回の裁判は今月11日に開かれ、再び青葉被告への被告人質問が行われる予定です。