車から降りたらクマ… 全国でクマ被害相次ぐ どうすれば?

1日、岩手県花巻市で田んぼの見回りをしていた69歳の男性が車から降りたところクマに襲われ、けがをしました。

実はことしに入って、特に最近は毎日のように人がクマに襲われているんです。中には住宅に侵入してくるケースも…

どんな場所で、なぜ被害が多発しているのか?
もしもクマに遭遇してしまったら?
「ぜひクマのことを自分ごととして捉えてほしい」という専門家に詳しく聞きました。

新潟県 玄関の網戸を破って…

実際に、どのような状況でクマによる被害にあっているのでしょうか。

9月16日には、新潟県 関川村の住宅でクマが玄関の網戸を破って屋内に侵入しました。

クマは脱衣場に居座り、洗面台などを壊したほか、駆けつけた猟友会の男性の腕をひっかき、男性は軽いけがをしたということです。

その後、クマは猟友会に捕獲され、山に戻されたということです。クマは体長およそ1メートルで、生後1歳半と推定されるということです。

秋田県では新聞配達や犬の散歩中に

9月29日の午前4時半、秋田市内で歩いて新聞を配達していた70歳の女性がクマに襲われました。

女性は頭や顔などに大けがをして病院に搬送されましたが、命に別状はないということです。体長およそ1メートルと体長およそ50センチのあわせて2頭のクマがいたということです。

また、警察によりますと、1日午後6時前、秋田市太平目長崎で犬の散歩中だった48歳の男性がクマに襲われました。

男性は顔や手足にケガをして市内の病院に搬送されましたが、命に別状はないということです。

通報を受けた消防によりますと、男性は、クマは1頭で体長が1メートル20センチほどだったと話していたということです。

警察によりますと、秋田県内ではことしに入り10月1日までに29人がクマに襲われてけがをしていて、過去最多を更新しています。

県によりますと、ことしはクマの餌となるブナなどの実が秋田県全域で不作となっているため、今後もクマの出没が増えるおそれがあるということです。

岩手県 早朝、キノコ採りの最中に

9月27日、岩手県 岩泉町の山林でキノコ採りをしていた70歳の女性がクマに襲われました。警察によりますと、女性は頭を引っかかれたり、左腕をかまれたりするけがをしたということです。

女性と一緒にキノコ採りをしていた夫によりますと、2人は午前5時ごろにマツタケをとるため山に入ったということです。

夫は「妻は木を倒して栗を食べていたクマに襲われたようです。妻はクマよけの鈴を付けていたけれど、クマは逃げなかったようだ」と話していました。

県のHPによりますと、岩手県では9月27日までにクマに襲われ1人が死亡、26人がけがをしています。

長野県 上高地の人気の遊歩道で

被害は観光地でも起きています。

9月27日午後0時半ごろ、山岳リゾート、長野県 松本市の上高地で観光に訪れていた39歳の韓国人男性が1頭のクマに襲われました。

現場は、上高地の中でも特に人気の高い「河童橋」の近くの遊歩道で、襲われた男性は頭や顔をクマにひっかかれて重傷を負ったということです。

全国でクマ出没警報 発令中

全国でクマの被害が相次ぎ、北海道や東北、北陸などでは「クマ出没警報・注意報」が発表される事態になっています。

なぜクマの被害が相次ぐ?

クマの生態に詳しい東京農工大学大学院 小池伸介教授に聞きました。

東京農工大学大学院 小池伸介教授
「この時期のクマの主食というのは、いわゆる“ドングリ”です。ことしは多くの地域でドングリのなりが非常に悪い。なりが悪い時というのは、山中にドングリが全然ならないというのがあって、ふだん行かないような人里の近くまで食べ物を探しに出ている」

被害を避けるには?もしもクマに遭遇してしまったら

では、もしクマに遭遇した場合は、どうすればよいのでしょうか。

東京農工大学大学院 小池伸介教授
「秋はクマはどうしても冬眠に向けて食べ蓄えないといけない時期ですので、春から夏に比べて活発になってきます。
クマよけスプレーを持つ
鈴とか音が鳴るものを持つ
あとは単独行動を避ける
複数でいると話すので、その声がクマに伝わるという事もありますし、もし事故があった場合に助けを呼べるので、大事です。
またこういった事故が起きる可能性がありますので、ぜひクマのことを自分ごととして捉えて注意していただければと思います」

山に入るときの注意点

クマの被害が相次いでいる岩手県では、山に入るときは
▽複数人のグループで行動し、
▽鈴やラジオなど音の出るものを持って行くなどの対策をとるとともに、
万一、クマに遭遇し攻撃された場合は両腕で顔や頭をカバーし、体を丸くして地面に伏せ、防御するよう呼びかけています。