スロバキア 隣国ウクライナへ軍事支援停止訴える野党が第1党へ

ウクライナの隣国スロバキアの議会選挙で、ウクライナへの軍事支援の停止などを訴えた野党が第1党となるのが確実となりました。
今後、連立政権を発足させ、支援を停止するかなどが焦点となります。

ヨーロッパ中部のスロバキアでは先月30日、議会選挙が行われました。

統計局によりますと、開票率99.56%の時点で、ウクライナへの軍事支援の停止を訴え、ロシアへの制裁に反対するフィツォ元首相率いる左派の野党「方向・社会民主主義」が得票率23%余りで1位となっています。

スロバキアのこれまでの政権は、NATO=北大西洋条約機構の加盟国としては初めて戦闘機をウクライナに送るなど軍事支援を進め、ロシアへの制裁についてもEU=ヨーロッパ連合と足並みをそろえてきました。

フィツォ氏率いる党は、ロシアへの制裁は物価の高騰を引き起こし国民を苦しめるだけだなどとロシア寄りの主張を訴え、軍事侵攻の影響に不満を募らせる層などを中心に支持を広げたとみられます。ただフィツォ氏率いる党は単独で過半数を確保できておらず、今後、連立政権の発足に向け、交渉を行う見通しです。

その行方はウクライナを支援するEUの結束にも影響を与えかねず、フィツォ氏が政権を握った場合、ウクライナへの軍事支援を停止するかなどが焦点となります。

専門家 “ロシア寄りの主張は選挙に勝つため”と分析

スロバキアのシンクタンク、ブラチスラバ政策研究所のバシェチカ所長は、これまで3度首相を務めたフィツォ氏について、もともとロシア寄りの政治家ではないとした上で、「フィツォ氏は国民のかなりの数がロシア寄りだと知っていて、ロシアのプロパガンダだけでなく、反欧米的な考え方をまねている」と指摘し、選挙に勝つための戦略として意図的にロシア寄りの主張を繰り返していると分析しています。

そしてフィツォ氏が政権を握った場合、「選挙期間中ほどではないが、反ウクライナ的言動を続け、早期の和平交渉も求め、ロシア側の主張を繰り返すかもしれない」と指摘しました。

一方で停止を訴えるウクライナへの軍事支援については、第3国経由で弾薬を送るなどEUやNATOとの決定的な対立を避ける対応を取る可能性があるとの見方を示しました。