バングラデシュでデング熱大流行 死者900人超 過去最悪

バングラデシュでは、デング熱が大流行していて、亡くなった患者は900人を超えるなど過去最悪となっています。WHO=世界保健機関は、気候変動を背景にデング熱のような蚊を媒介とする感染症が拡大していると警告しています。

デング熱は蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、それに筋肉痛や関節痛などの症状がでます。

現地の保健当局によりますと、バングラデシュでは毎年、デング熱が流行しますが、ことしは例年より早く5月頃からデング熱が流行し、今月4日時点では、感染者が13万3000人余りと前の年の同じ時期と比べておよそ20倍に増えています。

さらにWHO=世界保健機関の今月24日時点の最新の統計などによりますと、死者数は過去最悪の909人となり、感染はバングラデシュ全国に広がり大流行しているということです。

現地からの映像では、首都ダッカの病院に子どもたちが多く入院し、母親とみられる女性が心配そうに寄り添っているすがたも見られます。

バングラデシュの日本大使館も複数の日本人が感染したと連絡を受けているということで、肌の露出を少なくするなど感染予防を徹底するよう、注意喚起を出しています。

専門家「気温上昇とデング熱」

WHOの専門家は、気温上昇など気候変動がもたらす影響によって、デング熱の流行が今後、世界規模で、感染者数が記録的な規模になるおそれがあると警告しています。

WHOのデング熱対策の責任者であるベラユダン博士は、ことし7月の会見で「世界人口のおよそ半数がデング熱の危険性にさらされ、感染がおよそ129か国に広まっている可能性がある」と説明しました。

さらに博士は、気候変動に加えて、人や物の移動、都市化や衛生環境の悪化などによりデング熱の流行が広がっているとしています。

デング熱は、デングウイルスを持つ蚊に刺されることで発症する感染症で、初めての感染では重症化は多くないということですが、再び感染した場合などに重症化することもあり、早期に適切な治療を行うことが必要です。

また、デング熱を媒介する蚊は降雨量が多いときだけでなく、干ばつのときでも繁殖することが可能で、感染を拡大させるおそれがあると指摘しました。