パリパラ ロシアとベラルーシ選手 中立の個人で出場認める IPC

IPC=国際パラリンピック委員会はウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと、その同盟関係にあるベラルーシの選手について、中立の立場の個人として来年のパリパラリンピックへの出場を認めることを決めました。

IPCは9月29日、バーレーンで総会を開き、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと、その同盟関係にあるベラルーシのパラリンピック委員会の会員資格について審議を行いました。

参加した国や地域のパラリンピック委員会などが、両国のパラリンピック委員会の会員資格の扱いについて投票を行った結果、いずれも賛成多数で部分的な資格停止とすることが決まりました。

ロシアとベラルーシの選手は、国歌や国旗を使用しない中立の立場の個人としてのみ来年のパリパラリンピックへの出場が認められることとなります。

IPCのパーソンズ会長は「今回の決定で、パリ大会に向けて選手の活躍やパラスポーツそのものに焦点が当てられることを願っている」とコメントしています。

これまでの経緯

開幕まで1年を切ったパリパラリンピックに向け、IPCがロシアとベラルーシの選手の出場についてどのような判断をするか注目が集まっていました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった去年2月以降、IPCはロシアとベラルーシの選手を国際大会から除外する姿勢を維持してきました。

去年3月の北京パラリンピック開幕2日前、ロシアとベラルーシの選手についてIPCは中立の立場の個人で北京パラリンピックへの出場を認めるとしましたが、他の国や地域からの反発などを受けて、翌日にはこの決定を撤回し、一転して出場を認めませんでした。

さらに、去年11月には、臨時の総会を開いて両国のパラリンピック委員会を無期限の資格停止とすることを決め、IPCが認めるすべての国際大会への出場を認めないとします。

しかし、両国のパラリンピック委員会がこれを不服としてIPCの独立控訴裁判所に申し立てを行い、ことし5月、申し立てが支持されたため、今回、再び決議をとることとなりました。

IOC パリ五輪の両国選手の出場 いまだ判断示さず

一方、IOC=国際オリンピック委員会は、ことし3月、両国の選手の国際大会への復帰の条件について、国や地域を代表しない中立の個人に限るなどとする勧告を国際競技団体に行いましたが、IOCは来年のパリオリンピックに両国の選手を出場させるかどうかいまだ判断を示していません。

一部の競技団体のなかにはIOCの勧告を受けて両国の選手の復帰を認める一方、引き続き除外するなど対応が分かれているほか、ウクライナやヨーロッパの各国からは両国の復帰への批判が相次いでいます。

ウクライナ ポドリャク大統領府顧問 IPCの決定に批判

IPC=国際パラリンピック委員会がロシアと、ベラルーシの選手について、中立の立場の個人として来年のパリ・パラリンピックへの出場を認めることを決めたことについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問はSNSで「こうしたことが第一に戦争を長期化させ、第二にウクライナでのロシアによる暴力を増大させることになる」と批判しました。