試合前、急きょ、先発メンバーの入れ替えが発表されました。副キャプテンのスクラムハーフ、流大選手が足のけがの影響で欠場したのです。
そのポジションに入った代役の齋藤直人選手がすばらしい活躍をみせました。
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ラグビー 勝因は「スクラム」「粘り強いタックル」【解説】
“スクラム”に “粘り強いタックル”
ラグビーワールドカップフランス大会、1次リーグの第3戦で日本はサモアに28対22で勝ちました。これで2勝1敗として2大会連続の1次リーグ突破に向けて前進した日本。試合の勝因はパワフルな相手を抑えたことでした。
元日本代表のスクラムハーフでワールドカップ3大会に出場し、今大会、NHKで試合の解説を務める田中史朗選手の解説も交えて振り返ります。
(スポーツニュース部 記者 小林達記)
代役のスクラムハーフ 齋藤直人が活躍
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流選手のけがに「複雑な気持ちだった」と話した一方「準備はできていた」と持ち味のテンポの速いパスさばきで日本の攻撃をリードしました。
素早い攻撃はサモアのディフェンスを翻弄し、特に前半の2トライは日本の速い攻撃が機能した形でした。
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また、齋藤選手は攻撃だけでなく守備でもタックルを決めて貢献。1メートル65センチと小柄ながら相手の力強い突進を再三、食い止めました。
サモアのバオバサマナイア セイララ・マプスア ヘッドコーチは「ゲームコントロールがうまく試合のペースを牛耳っていた。齋藤選手に苦しめられた。ディフェンス面もすばらしかった」とたたえていました。
日本のジェイミー・ジョセフヘッドコーチも「急に先発となったが、すばらしいプレーをしてくれた」と評価していました。
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同じスクラムハーフとしてワールドカップに3大会連続出場し、通算75キャップのベテラン、田中史朗選手も。
田中史朗選手
「しっかりゲームをコントロールできていました。齋藤選手はディフェンスもかなりいっていたのではないか。すごく危ない場面でもしっかり穴を埋めて相手を止めていたので、本当にいい働きをしていた。もともとタックル、ディフェンスがうまい選手で、この試合はいつも以上にディフェンスにいっていた。日本のために体を張ってくれていた」
セットプレーで優位に
この試合ではセットプレーも大きな勝因となりました。
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相手の強力フォワードを警戒していた日本ですが、スクラムは要所で粘り、ラインアウトは成功率87.5%と互角に渡り合うことができました。
特に前半13分と32分に奪ったトライはいずれもスクラムが起点になっていて、スクラムの安定が齋藤選手の素早いパスさばきにつながっていました。
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前半終了間際にはラインアウトからモールで押し込まれてトライを許しましたが、後半9分には日本が同じような形でトライを奪うなど、セットプレーを強みとする相手と互角に渡り合えたことが勝利につながりました。
フォワード第1列の稲垣啓太選手は試合後「スクラムに重きをおいて戦い、相手にプレッシャーをかけることができたと思う」と手応えを口にしました。
元日本代表の田中選手も、この試合のポイントにあげていたスクラムやモールについては。
田中史朗選手
「すごくよかったと思います。スクラムでもほとんど押される場面はなかったし、モールは押される場面あったけれど、それでトライをとられたのは1本だけでした。敗れた7月のテストマッチでは スクラムもモールもやられた部分があったので、モールからのトライを1本に抑えられたのは日本の成長だと思います」
フィジカルの強いサモアに粘り強くタックルも
フィジカルの強いサモアに対してディフェンスでも粘り強さが光りました。
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ディフェンスを担当するジョン・ミッチェルコーチが予想したようにサモアはボールを持って突進してくる場面が多く、ボールを持って走った回数は
▽日本 87回に対し
▽サモア 145回でした。
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日本は粘り強くタックルをし続け、タックルの成功回数は
▽日本 181回
▽サモア 83回と、日本はサモアの突進を何度も止めていました。
試合の終盤、サモアに追い上げられる場面もありましたが、苦しい局面を声をかけ合いながら乗り切ることを「侍タイム」と位置づけて、全員が規律を保ち体を張り続けました。
また、相手の前進を止めつつ、重要な場面で反則をしなかったことも勝利につながった要素でした。
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田中史朗選手
「いいタックルもすごく多かった。相手が疲れていても日本は疲れていなくてタックルの回数も多かった。大会前の激しい練習が今のこの大会に実っているんだと思います」
ハンドリングエラーの数が最少
さらに、際立ったのがノックオンなどのハンドリングエラーの少なさです。
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日本は、今シーズン、テストマッチ1試合平均で10以上のハンドリングエラーをしていましたが、この試合では「4」と最も少なくなりました。
これについて稲垣選手は「その部分はチームとしての成長を感じている」と話しました。
アルゼンチンとの大一番へ
この勝利で1次リーグを2勝1敗の勝ち点「9」とした日本ですがアルゼンチンも日本時間30日に行われるチリ戦でボーナスポイントを獲得して勝利すれば、勝ち点を「9」に伸ばします。つまり、次のアルゼンチン戦は勝った方が1次リーグを突破する大一番となります。
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元日本代表の田中選手は、この試合の課題、そしてアルゼンチン戦に向けて次のように語りました。
田中史朗選手
「ディフェンスで力的に少し押されていて、相手に裏に出られた部分があったのでそこは改善しないといけない。オフロードパスもされていたので、しっかりボールを殺す・押さえるという意味でダブルタックルで押さえないといけないと思いました。サモア戦でボーナスポイントを今回取れなかったので、絶対に次は勝たないといけないです。いい部分を伸ばしていく。この試合も60分から少しパフォーマンスが落ちたように見えたので、80分間というのをもっと意識してやってもらいたいです。いいパフォーマンスを継続できれば日本は負けない。そして一人一人の意識。ベスト8に行きたい、ベスト4を超えたいという思いを一人ひとりが持ってプレーできれば勝てると思います」
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ワールドカップをエベレストの登頂に例えている日本は、サモア戦の勝利で、まずは崖っぷちから脱しました。
次に待ち受ける1次リーグ最後の難所を登りきるため、チームの力を結集させることが求められます。
田中史朗選手(京都府出身・38歳)
試合の先を読む能力が高く、判断良く正確なパスを出し、巨漢選手にも果敢にタックルする勇敢なスクラムハーフとして日本代表の中心として活躍した。
<経歴>
伏見工業高校(京都)→京都産業大→三洋電機(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)→ハイランダーズ(ニュージーランド)→キヤノンイーグルス→NECグリーンロケッツ東葛
<日本代表歴>
▽通算75キャップ
▽2011年、2015年、2019年とワールドカップ3大会連続出場
【動画】全48試合ハイライト
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【NHK特設サイト】ラグビーワールドカップ2023
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