ジャニーズ問題 「ソロデビューさせたい」と勧誘 新たな告発

ジャニー喜多川氏による性加害の問題をめぐり、ジャニーズ事務所は、来月2日、週明けの月曜日に都内で記者会見を開きます。

会見を前に、新たに声を上げた元所属タレントの男性がNHKの取材に応じました。「二度とこうした被害が起きないような社会を作っていかなきゃいけない」と訴えています。

生活に困り「耐えなくては」

大阪出身の木村伸一さん(46)です。

高校3年生だった1995年、親戚がジャニーズ事務所に木村さんの書類を送ったところ、ジャニー喜多川氏から突然電話で呼び出され、「ソロでデビューさせたい」などと勧誘されたといいます。

当時は家庭の経済状況が厳しく、高校卒業後は就職する予定だったこともあり、1度は断りましたが、学費の援助をするなどと言われ、説得されたとしています。

数日後に東京のジャニー氏の自宅に招かれると、そこで初めて性被害にあったといいます。

木村伸一さん
「パニックになりましたし、ショックも大きかった。ただ当時生活に困っているというのがあったので、『耐えなきゃいけない』という気持ちになりました」

グループデビューのはずが…

その後、数か月後に東京に呼ばれた際、グループでデビューさせると言われましたが、その日もジャニー氏の自宅で性被害を受け、耐えきれなくなって逃げ出したあとは、距離を置くようになりました。

当初言われた学費の援助はありませんでした。

結局、木村さんは、出演していたバラエティー番組の終了を受けて事務所を離れ、その後は活躍の機会が得られず、21歳で芸能界から退くことになりました。

当時、出版関係の知人に被害を打ち明けたところ「そういうことは言わないほうがいい」と言われたといいます。

木村伸一さん
「『そうか言っちゃダメなのか、この業界は』とそこから口を閉ざして、自分も精神的に不安定な部分もあったので、周りに被害状況を話さなくなりました」

“黙認する社会 変えなくては”

長らく、被害を語ることがなかった木村さん。

しかし、ことし4月、元所属タレントのカウアン・オカモトさんが会見で、15歳のころから性的な行為を受けていたと被害を語りました。

木村さんは、その姿を見て、自身も告白しようと決めたといいます。

木村伸一さん
「声を上げることで、自分の心の深いところにある精神的な思いや問題が解決できるのではないかと思ったのと、みんな知っていたのに黙認されてきた現状を変えなきゃいけないと考えました。ジャニーズだけでなくさまざまな業界で声を上げられない人の役に立てればいいという思いもありました」

ただ、5月にジャニーズ事務所に連絡をしたところ、「所属していたことが確認できたので後日連絡する」と言われたまま、その後、連絡はないといいます。

会見に望むことは…

来月2日に、ジャニーズ事務所が再発防止策や運営方針を公表することについて、木村さんは次のように訴えています。

木村伸一さん
「スポンサー離れなどの問題がある中、タレントを守る立場として取るべき対策は取ってほしい。被害に遭っても声をあげられない人、あげたら自分の身に危険があると考える人もいるが救済につなげてほしい。本人が亡くなっているから同じことは起きないと言う人も多いと思うが、見て見ぬふりした人たちがそこにいるということは、同じことが起きる可能性もあるので、もっと具体的なガバナンスの強化などの必要性はあると思います」
「長い年月にわたり続いてきた問題であり、多くの人に自分の子どもがそういう被害に遭ったらどう思うのか、被害に遭っているのに声を上げられない社会で今も苦しんでいたらどうだろうと、考えてほしい。もう二度とこうしたことが起きないような社会を作っていかなきゃいけないと思います」