首相 “インボイス制度 新たな経済対策で支援策を” 指示

消費税の納税額の正確な把握を目的とした「インボイス制度」の開始を控え、岸田総理大臣は制度の円滑な導入や定着に向けて、事業者の不安の解消に取り組むとともに、新たな経済対策に必要な支援策を盛り込むよう関係閣僚に改めて指示しました。

インボイス制度は食品など一部の品目で消費税の税率を8%に据え置く軽減税率が導入されたことを受け、納税額を正確に把握するために10月1日から始まります。

これを前に、29日に関係閣僚による会議が総理大臣官邸で開かれました。

新たな制度では、事業者が消費税の控除や還付を受けるためには、インボイスと呼ばれる請求書や領収書が必要となります。

ただ、インボイスを発行するための登録を行うと、これまで納税が免除されてきた年間売り上げ1000万円以下の小規模事業者も新たに納税義務が生じるうえ、事務手続きの負担も増すとして根強い懸念があります。

会議では
▽新たに登録した小規模事業者の納税額を売り上げで受け取った消費税の一律2割とするなど、当面の負担軽減措置の周知を徹底するとともに
▽制度の定着に向けた取り組みを継続することを確認しました。

岸田総理大臣は「政府一丸となって事業者の抱える不安を解消するとともに、取引環境の改善やデジタル化につなげるなど、今後、取りまとめる経済対策で必要な支援を実施するよう取り組んでほしい」と述べ、新たな経済対策に小規模事業者などの支援策を盛り込むよう改めて指示しました。

「4年間にわたって準備続け こんにちに 引き続き説明や対応」

岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に「決定してから4年間にわたってさまざまな準備や説明を続け、こんにちに至っている。不安に思っている人がいるので、引き続き、政府として説明や対応を続けていきたい」と述べました。

鈴木財務相「個々の状況に目配りして丁寧に対応」

鈴木財務大臣は閣議のあとの会見で、「インボイスは複数税率における適正な課税を行うために必要な制度であり、多くの国々で実際に採用されている」と述べ、改めて制度への理解を求めました。

その上で、鈴木大臣は「一部の小規模事業者などが抱えている不安に対しては、個々の状況に目配りして丁寧に対応していく。政府の支援策がまだ十分に伝わっていない面もあり、周知をしっかり行う」と述べ、制度の円滑な導入や定着に向けて、新たに納税義務が生じた事業者への負担軽減策などの周知を徹底する考えを示しました。

立民 泉代表「導入延期 訴え続けたい」

立憲民主党の泉代表は記者会見で、「ずいぶん前から当事者の声を聞いてきたが、政府がきょう、関係閣僚会議の初会合を開いたというのは、対応があまりに遅い。中小・零細企業や個人事業主の負担がどれほどのものなのか、もっと実感を持つべきで、インボイス制度の導入延期を訴え続けたい」と述べました。