こちらは、今月26日に京都市内の公園で撮影されたものです。
街灯のまわりを大量に飛び交っているのは…
蛾ではなく、カメムシです。
撮影した男性は「ふだんとは違うにおいがしたので近づいてみたら、これまで見たことがないような大量のカメムシがいて驚いた」と話していました。
実は、ことし、カメムシが全国的に大量発生しているとして、ネット上でも関心を集めています。
「カメムシ大量発生」は検索ワードの上位にランクイン。
カメムシ大量発生! 都市部で目撃相次ぐ 対処法は?
最近、ミドリのムシをよく目にしませんか?
そう、「カメムシ」です。
強烈なくさいにおいを出すため、苦手という人もいると思います。
都市部で目撃情報が相次ぎ、インターネットでも関心が高まっています。
なぜ、大量発生しているのか。
どんな対処法があるのか、取材しました。
(大阪放送局 記者 松浦宏斗)
“カメムシ大量発生” SNSで話題に
「どこにでもいるな…」
「緑のブツブツ全部カメムシでした…」
SNSでも投稿が相次いでいます。
大阪でも…
本当に、カメムシは大量発生しているのか。
27日の午後8時ごろ。
NHK大阪放送局前を見て回りました。
すると、床にも、柱にも、天井にも。
少し探しただけで、20匹以上確認できました。
こちらは大阪府内にあるマンションです。
白い壁に大量のカメムシが止まっていました。
大量発生の背景は?
なぜ、都市部で大量のカメムシが目撃されているのか?
カメムシを専門に研究する伊丹市昆虫館の長島聖大 学芸員に聞きました。
長島さんは「きちんとしたバックデータがあるわけではない」と断ったうえで、ひとつの仮説を示してくれました。
今回、都市部で見られているのは、全身が緑色の「ツヤアオカメムシ」。
夏の間は山で杉やヒノキなどの実を食べて幼虫から成虫になり、秋になるとエサを求めて、あちこちに移動します。
▼ことしはエサが豊富にあったたため、そもそも成虫に育った個体が多く、その成虫があちこちに移動するなかのひとつに都市部があった。
▼都市部には明かりが多く、カメムシも明かりに集まる習性があるため、人の目につきやすくなった、というのです。
伊丹市昆虫館 長島聖大 学芸員
「山の中で少なくともエサが多かったのは間違いないだろうなとは思います。夏の間に山で増えたものが市街地にむけて一直線にいくのではなくて、いろんなところに飛び散る。その移動中のものを見ているようなかたちで、光に集まる性質が強いので目立つのだと思います。ことしはすごく多くて、大阪の街までとんでいくというのは私も驚くほどの長距離移動です」
農業被害も…
カメムシによる農業被害も出ています。
和歌山県かつらぎ町にある柿畑です。
この畑では、柿の実がカメムシに食われて、表面が黒く変色してくぼんだりする被害が、すでに全体の3割ほどに出ているということです。
さらなる被害を防ぐため、農薬の散布が行われました。
柿農家 松本治郎さん
「いま食われたやつは、すべて捨てないとしゃあない。カメムシがおろうがおるまいが定期的に防除として農薬散布をやっとくしかないと思うんやけどね」
農林水産省によりますと、今月28日の時点で、京都府や和歌山県など全国21の道府県がカメムシの注意報を出して農作物の管理を徹底するよう呼びかけています。
都市部での対処法は?
一方、都市部ではカメムシにどのように気をつければいいのでしょうか?。
光に集まる性質があるので、明かりの量を減らすことが大切だと長島さんは指摘します。
伊丹市昆虫館 長島聖大 学芸員
「みなさんのおうちのまわりにいま目立つというのは明かりに寄ってくる習性がすごく強いので、例えばマンションの廊下とかにいる場合は明かりの量を減らす。特に人がよく歩く廊下だったり窓、それから玄関の前の明かりをなるべく減らすと寄ってきにくくなります」
それでも部屋のなかに入ってきた場合の対処方法として、長島さんは2つの方法を教えてくれました。
方法その1 ティッシュでそっと包む
手で直接つかんでしまうと、刺激をあたえてにおいを出されるおそれがあるので、ティッシュペーパーでやさしく外から包み込むようにしてつかむ。
そして、そのまま外に逃がすといいということです。
方法その2 ペットボトルを使う
ティッシュで包むことも嫌な人は、ペットボトルを使う方法があります。
ペットボトルの下のほうを切って、そこから中にカメムシを追い立てて捕まえます。
そして、そのまま外に持って行って逃がすという方法です。
伊丹市昆虫館 長島聖大 学芸員
「“刺激”を与えさえしなければ、においは出されません。カメムシがいても大騒ぎせずに、冷静に対処してほしい」