ナゴルノカラバフ アルメニア系勢力の“共和国” 組織解体へ

アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地、ナゴルノカラバフで起こした軍事行動を受けて、アルメニア系勢力がつくった「共和国」と称する組織が来年1月までの解体に向けて手続きを始めました。アルメニア側は、今後、支配してきた地域を明け渡すことになるとみられます。

アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地、ナゴルノカラバフで起こした軍事行動を受けて、アルメニア系勢力がつくった「共和国」と称する組織が来年1月1日までに解体されることになったと地元メディアが伝えました。

この組織の代表が28日、解体に向けた手続きに関する書類に署名したということです。

ナゴルノカラバフは、旧ソビエト諸国のアルメニアとアゼルバイジャンが互いに帰属を主張し、これまでもたびたび武力衝突が起きていましたが、今月19日の軍事行動のあと、アルメニア側は、武装解除などを受け入れて敗北していました。

また、アルメニア政府は28日、ナゴルノカラバフにおよそ12万人いるとされるアルメニア系住民のうち半分にあたる6万8000人以上がアルメニアに避難したと発表しました。

一方、アゼルバイジャン政府は28日、アリエフ大統領がナゴルノカラバフの街を視察したと発表し、軍事行動の後、現地を訪れたのは初めてとみられます。

今回の手続きを受け、ナゴルノカラバフのアルメニア系勢力は支配していた地域を明け渡し、アゼルバイジャン側が現地の統合に向けて本格的に動き出すものとみられます。

ロシア ペスコフ報道官「非常に敵対的な動き」

ナゴルノカラバフの情勢についてロシア大統領府のペスコフ報道官は28日記者団に対し「情勢を注視している。最も重要なことは人道的な問題だ」と述べました。

そのうえで「ロシアの平和維持部隊は人々を支援し続けている」と述べ、ロシアの役割を強調しました。

一方、アルメニアのパシニャン政権がICC=国際刑事裁判所の加盟国になろうとする動きを見せていることについてペスコフ報道官は「両国の関係に悪影響を及ぼさないことを期待している」と述べました。

ICCは、ことし3月、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領に対して逮捕状を出していてペスコフ報道官は「非常に敵対的な動きだ」と述べアルメニアをけん制しました。

ナゴルノカラバフをめぐって、アルメニア政府は仲介役を果たさなかったとしてロシアへの不満を強める一方、ロシア側もアルメニアのパシニャン政権が欧米側に接近しているなどと批判を繰り返しています。