北朝鮮が憲法に核武力政策明記で「核開発の阻止困難に」専門家

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、憲法に核武力政策を明記することを決定したことについて、「核武力を持続的に一層、強化すべきだという戦略的な判断だ」と強調しました。専門家からは、改正が容易ではない憲法に明記したことで、北朝鮮の核開発を阻止することがさらに難しくなるとの指摘が出ています。

北朝鮮は、27日までの2日間開いた最高人民会議で、憲法に核武力政策を明記することを決定し「責任ある核保有国として、核兵器の発展を高度化する」などとする、修正案を採択したと、28日に国営メディアなどを通じて発表しました。

会議で演説したキム・ジョンウン総書記は「核保有国の今の地位を絶対に変更させず、核武力を持続的に一層、強化すべきだという戦略的な判断だ」として、憲法のもとで核・ミサイル開発を推し進める姿勢を強調しました。

北朝鮮は、2012年に初めて憲法に「核保有国」と明記し、去年9月の最高人民会議では、核兵器の使用条件などを定めた法令を採択していました。

北朝鮮のねらいについて、韓国の専門家からは、「憲法は法令と異なり改正が容易ではない。核戦力を永久に強化するねらいがあり、北の核開発を阻止することがさらに難しくなる」という指摘が出ています。

また、キム総書記は核兵器を多様化し、実戦配備を加速する方針を示していて、専門家はロシアとの軍事協力の強化や、アメリカを狙う弾道ミサイル技術の高度化などを加速する可能性も指摘しています。

国家宇宙開発局「国家航空宇宙技術総局」へ格上げ

北朝鮮は27日まで開かれた最高人民会議で、国家宇宙開発局を改編し、国家航空宇宙技術総局へと変更する案を採択したと発表しました。

国家宇宙開発局は、2013年4月に設立され、「人工衛星の打ち上げ」と称した事実上の長距離弾道ミサイルの発射や、初めての保有を目指す軍事偵察衛星の打ち上げで重要な役割を果たしてきました。

キム・ジョンウン総書記は、軍事力の強化などを理由に宇宙開発を重視し、国家宇宙開発局をたびたび視察していて、ことし4月には娘とともに訪れ、完成した軍事偵察衛星を確認していました。

また、キム総書記は9月に、4年ぶりにロシアを訪問した際、ボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領と会談したほか、ロケットの発射台などを視察し、宇宙開発への意欲を改めて示していました。

北朝鮮は、偵察衛星の3回目の打ち上げを10月に予告していて、韓国の通信社、連合ニュースは、国家航空宇宙技術総局への格上げは、今後も持続して衛星を発射するという意志を示したものだとの見方を伝えています。