米 政府機関の一部 閉鎖の懸念 予算案めぐる議会の協議難航で

アメリカの連邦議会では、政府の予算案をめぐる協議が難航していて、今月中に合意できなければ政府機関の一部が閉鎖される懸念が高まっています。

アメリカの連邦議会は来月から始まる新たな会計年度の予算案を今月中に成立させる必要がありますが、与党・民主党と、財政規律を重視する野党・共和党の間で合意に至っていません。

このため議会上院では26日、交渉時間を確保するため、民主・共和両党が11月17日まで予算の執行を続けるための「つなぎ予算」の案を超党派でまとめました。

ただ、議会下院では、多数派を占める共和党の保守強硬派の一部の議員がウクライナ支援に反対するなど大幅な歳出削減を主張していて、「つなぎ予算」の成立の見通しも立っていません。

今月30日までに「つなぎ予算」を成立できなければ来月1日以降、連邦政府職員の人件費などが手当てできなくなり、政府機関の一部が閉鎖される懸念が高まっています。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は26日、声明を発表し「下院共和党は上院とともに自分たちの仕事をして、人々の生活を翻弄する政治的な駆け引きをやめるべきだ」として共和党に対応を求めました。

下院では、共和党のマッカーシー議長が党内の調整にあたっていますが、保守強硬派の議員は主張が認められなければ議長の解任を求める構えを見せて圧力を強めていて、合意が得られるめどは立っていません。

アメリカ 過去の政府機関閉鎖は

アメリカでは予算案をめぐる調整が難航し、政府機関の閉鎖がたびたび起きています。

このうちトランプ政権では、2018年の12月からよくとしの1月にかけて国境沿いの壁の建設費をめぐる対立で一部の政府機関が閉鎖し、過去最長となる1か月以上にわたって続きました。
連邦政府の職員の多くが自宅待機を命じられたり、無給で働いたりしたほか、一部の国立公園や首都ワシントンの観光名所の博物館などの施設も一時、閉鎖される事態となりました。

オバマ政権下の2013年にも、政権が推進する医療保険制度改革の延期を盛り込むよう野党・共和党が主張して与党・民主党と対立し10月1日から16日間、政府機関の一部が閉鎖されました。
この際、オバマ大統領は財政問題への対応を優先させるため予定していた東南アジア歴訪を取りやめるなど外交面にも影響が出ました。

米国防次官 “ウクライナ支援にも影響出かねない”

政府機関の一部が閉鎖に追い込まれた場合の影響について、アメリカ国防総省で兵器の調達などを担当するラプランテ国防次官は26日、シンクタンクが開いたイベントで「ひどいことになる。来週、ウクライナに送る兵器の性能などを確かめる試験を行う予定だが、何らかの措置が講じられなければ、できそうにない」と述べ、必要な人員を確保することができず、ウクライナへの軍事支援にも影響が出かねないと懸念を示しました。