ロシア黒海艦隊司令官に死亡説もメディア「国防省会議に出席」

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアにあるロシア黒海艦隊の司令部への攻撃で、黒海艦隊を率いる司令官が死亡したと主張しています。しかし、黒海艦隊は攻撃能力を維持し、ウクライナ側への報復が懸念されるとの見方も出ています。

ウクライナ軍は25日、南部クリミアの軍港都市セバストポリにあるロシア海軍の黒海艦隊の司令部に対する22日の攻撃で、黒海艦隊を率いる司令官を含む34人の幹部が死亡したと主張しています。

これに対し、これまでにロシア側の公式な反応はありませんが、ロシアメディアは国防省の関係者の話として、「偽の情報だ」などと否定的に伝えています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は25日、司令官死亡の確証はまだないとしつつも、「死亡が報告されれば、ロシア黒海艦隊の指揮統制に大きな混乱を引き起こすだろう」と指摘しています。

一方、イギリス国防省は26日、ロシア黒海艦隊への攻撃が激しくなっているとしたうえで、「司令部への攻撃による物理的な損傷は大きいが、局所的だ。黒海艦隊は巡航ミサイルによる攻撃や警戒監視といった中核となる任務の遂行能力を維持している」と指摘しました。

そのうえで、「ウクライナ軍の攻撃はロシアに反動的な姿勢を強いることになりそうだ」として、一連の攻撃に対するロシアによる報復も懸念されるとの見方を示しています。

死亡情報の司令官 “国防省の会議出席” ロシアメディア

ロシア国防省は26日、ショイグ国防相が軍の司令官などと開いた会議の映像を公開し、この中にロシア海軍の黒海艦隊のビクトル・ソコロフ司令官とみられる人物がオンラインで参加している様子が映し出されています。

これについてロシアのメディアは「ウクライナ側はソコロフ司令官が死亡したと主張しているが、司令官は国防省の会議に出席している」などと伝え、ソコロフ司令官は健在だとしています。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日、ウクライナ側が司令官が死亡したと主張していることについて、記者団に対し、「国防省からの情報はない。何も言うことはない」としています。