日中韓の外務省高官 3か国による首脳会議 早期開催で一致

日本と中国、韓国の外務省高官による協議がソウルで行われ、4年前から開かれていない、3か国による首脳会議をできるだけ早い時期に開催する方針で一致しました。韓国メディアによりますと、首脳会議に先立って、ことし11月に3か国の外相会議を開く方向で調整が進められているということです。

26日の協議には
▽日本から外務省の船越外務審議官
▽中国外務省の農融次官補
▽韓国外務省のチョン・ビョンウォン(鄭炳元)次官補が、それぞれ出席しました。

議長国を務める韓国の外務省によりますと、協議では、4年前から開かれていない3か国による首脳会議について、できるだけ早い時期に開催する方針で一致しました。

韓国メディアによりますと、これに先立って、ことし11月に韓国南東部のプサン(釜山)で3か国の外相会議を開く方向で調整が進められているということです。

また、韓国外務省の高官によりますと、26日の協議では、韓国側が日中両国に対し、安全保障や経済などの分野で協力を強化して成果づくりを進めたいという方針を示した一方、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出については、議題に上らなかったということです。

韓国政府は年内の首脳会議の開催を目指し、引き続き、協議を進める方針です。

上川外相「3か国でしっかり検討を進める」

上川外務大臣は閣議のあとの記者会見で、「地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する日中韓の3か国が、協力の在り方や地域の諸課題などについて議論することは大変有意義だ」と述べました。

そのうえで、3か国の首脳会議の再開については、「『日中韓プロセス』を早期に再開させる必要性については3か国は一致している。引き続き、3か国でしっかりと検討を進めていきたい」と述べました。

日本のねらいは

日本政府としては中国による日本産水産物の輸入停止措置を早期に撤回させたい。
一方で、中国との決定的な対立は避けたいというのが本音です。

中国は最大の貿易相手国であり、人的交流も活発で経済的な結びつきが強いからです。

このため、3か国の首脳や外相による会議の機会も生かして、中国とは粘り強く対話を続けていきたい考えです。

また、北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアと北朝鮮の接近など地域の安全保障上の課題についても中国を巻き込んで議論したいとしています。

中国外務省 “3か国の協力は共通の利益だ”

日中韓3か国の外務省高官による協議について、中国外務省の汪文斌報道官は26日の記者会見で、「3か国の協力は共通の利益だ。手を取り合って経済や貿易などの分野で実務的な協力を強化し、地域の平和と安定、繁栄に新たな貢献をすることで一致した」と述べました。

その上で、「今後、数か月以内に3か国の外相会議を行うとともに、なるべく早く首脳会議を行うため、意思疎通を続けることで合意した」と説明しました。