事故の裁判で無罪確定 免許取り消し処分 2審も無効判決 福岡

6年前、福岡市で軽トラックを運転中に原付きバイクに衝突して男性に大けがをさせた罪に問われ、無罪判決が確定した女性が、運転免許を取り消されたのは不当だと訴えた裁判で、2審の福岡高等裁判所は1審に続いて、福岡県が運転免許を取り消した処分を無効とする判決を言い渡しました。

トラック運転手として働いていた45歳の女性は6年前、福岡市早良区の国道で軽トラックを運転中、原付きバイクに衝突して男性に大けがをさせたとして過失運転傷害の罪に問われましたが、刑事裁判で無罪が確定しました。

女性は、事故の責任が女性にあることを前提にして運転免許を取り消され、無罪判決の確定後も処分が撤回されなかったことは不当だとして訴えを起こし、1審の福岡地方裁判所はことし3月、福岡県に対し、取り消し処分の無効を言い渡し、県側が控訴していました。

26日の2審の判決で福岡高等裁判所の高瀬順久裁判長は「免許の取り消し処分の要件の根幹となる交通事故に事実誤認があったことを前提として検討すると、この処分は無効だ」などとして、1審に続いて、運転免許の取り消し処分を無効としました。

福岡県警察本部は「判決内容を精査した上で適切に対処したい」とコメントしています。

訴えを起こした経緯

女性は「無罪になったのに運転免許が戻ってこない」のは不当だとして、今回の訴えを起こしました。

女性は刑事裁判で無罪となったあと、運転免許の取り消し処分を行った福岡県公安委員会に「職権」で処分を撤回するよう求めましたが、公安委員会はこの処分について、「重大かつ明白なかしはない」として認めなかったからです。

総務省などによりますと、運転免許証を取り戻す方法は、運転免許証の管理を担う都道府県の公安委員会が「職権」で処分を取り消す方法以外に、▽処分を知った日の翌日から3か月以内の不服申し立てか、▽処分を知った日から6か月以内に処分の無効を求める訴訟を起こすことです。

しかし、女性側の弁護士によりますと、刑事裁判で無罪が確定した時にはすでに2年余りが経過していて、今回のように運転免許の取り消し処分の無効を求める訴えを起こすしかありませんでした。

女性「少しほっとした」

女性はトラック運転手として働き、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきました。

26日の会見で女性は、運転免許がないことで運転手の仕事ができず、再就職は難しかったとしたうえで、「運転手の仕事は好きで向いていたと思います。資格などもないので、運転手の仕事がないと何をして生活を安定させようかという思いでした」と話しました。

そのうえで、2審の判決を受けて、「まだ、完全に安心はできませんが、一区切りついて少しほっとしました。県は最高裁判所に上告しないでほしい」と話していました。

女性の代理人の木村道也弁護士は今回の判決について「交通事故で無罪や不起訴になった場合には、改めて運転免許の取り消し処分が妥当だったかどうかを検討すべきだと思います。この判決はそれを後押ししてくれるものだと思います」と話していました。