リニア中央新幹線 地域の環境保全議論取りまとめへ 有識者会議

静岡県が着工を認めていないJR東海の「リニア中央新幹線」をめぐり、地域の環境保全について議論してきた国の有識者会議は、JR側がとるべき対策に一定の整理がついたとして今後、最終的な取りまとめを行うことになりました。
ただ、静岡県はJR側とのさらなる協議が必要だとしています。

リニア中央新幹線について、JR東海は2027年の開業を目指していますが、静岡県は地下のトンネル工事によって大井川の水量が減ることや、南アルプスの生態系への悪影響を懸念して着工を認めていません。

これについて、両者の仲裁に入る形で国が設けた有識者会議は、去年6月から生態系など環境保全に関する議論を進め、26日、取りまとめ案を示しました。

それによりますと、
▽トンネルを掘った際に周辺の沢で水量が減少するのを抑える保全措置や
▽工事の残土が周辺環境に与える影響を調べるモニタリングなど、JR側が取るべき対策について、「一定の整理がついた」と位置づけました。

そのうえで、工事を始めたあともJR側がモニタリングを継続し、必要に応じて対策を見直すとともに、国もその状況を客観的な立場で確認するよう検討すべきだとしています。

有識者会議は今後、最終的な取りまとめを行うことにしていますが、静岡県はさらなる協議が必要だとしていて、取りまとめ後も両者の協議は続くことになります。

会議に参加したJR東海の澤田尚夫常務は「議論が着実に進んでいる。引き続き、丁寧に説明していきたい」と述べました。

静岡県くらし・環境部の山田琢也部長代理は「議論すべき点がまだ積み残されている。県の専門部会で協議のうえ、取りまとめ案に対する意見書を提出する」と話しています。