新たな経済対策“10月末めどにとりまとめを” 首相 閣僚に指示

岸田総理大臣は26日、物価高を受けた新たな経済対策を10月末をめどにとりまとめるよう、閣僚に指示しました。企業による賃上げや、半導体をはじめとした戦略分野の国内投資を促す減税措置などをめぐり、政府・与党の検討が本格化します。

岸田総理大臣は26日の閣議で、「コロナ禍を乗り越えた国民は、今度は物価高に苦しんでいる。成長の成果である税収増を国民に適切に還元すべきで、各種の給付措置に加え、税や社会保障負担の軽減など、あらゆる手法を動員し、『総合経済対策』を策定する」と述べました。

そのうえで、持続的な賃上げの実現や、国内投資の促進などを柱に対策を具体化し、10月末をめどにとりまとめるよう、閣僚に指示しました。

具体策としては
▽賃上げに取り組む企業に対する減税措置の強化のほか、
▽コロナ対策などの予備費の使途を見直し、賃上げ促進にも使えるようにすることなどが議論されます。

また
▽半導体をはじめとした戦略分野の国内投資を促す新たな減税に加え、
▽電気やガス料金を含めた家計の負担軽減策や、
▽物価高対策を支援する「重点支援地方交付金」の追加なども論点となり、政府・与党の検討が本格化します。

新たな経済対策をめぐっては、その実効性とともに、裏付けとなる補正予算の規模や予算案の国会提出の時期も焦点となります。

松野官房長官「まずは対策の検討を速やかに進めたい」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で、「活発な設備投資や賃上げ、人への投資による好循環が実現する新たなステージへ移行するチャンスを逃がさず、今後3年間を変革期間として、集中的に取り組むためのスタートダッシュとして策定する」と述べました。

そのうえで、「真に必要で効果的な政策を積み上げて、経済対策をとりまとめたうえで、速やかに補正予算案の編成に入ることにしており、現時点で補正予算案の規模や時期について具体的に申し上げる段階にはない。与党とも十分連携しながら、まずは対策の検討を速やかに進めたい」と述べました。

鈴木財務相「効果的な政策を積み上げていくことが必要」

鈴木財務大臣は新たな経済対策の指示について、26日の閣議のあとの記者会見で、「急激な物価高から国民生活を守り、構造的賃上げと投資拡大の流れを強化するため、真に必要で効果的な政策を積み上げていくことが必要だ。あわせて、規制制度改革の積極的な活用を図ることが重要だ」と述べました。

そのうえで、大規模な財政支出が物価高の助長につながりかねないという指摘について、鈴木大臣は「物価の変動はさまざまな要因によって決まってくるものであって、財政出動が物価高騰を招くのか、一概に言うのは困難だが、非効率的な財政出動が物価高騰を招くことがないよう、政策の必要性や実効性、それに緊要性についてしっかり査定したい。財政規律が緩むことがないように対応していきたい」と述べました。

新藤経済再生相「希望を実感できるような政策を」

新藤経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「国民が将来に向けて明るい希望を実感できるような政策パッケージにしたい。縦割りの弊害を排し、各省庁が所管する制度や施策に横串を刺し、相乗効果を生み出せるようにしていきたい」と述べました。

そのうえで、「賃金の上昇は物価高の伸びを超えておらず、国民生活を守るため、継続して必要な対策を打っていきたい。経済状況や燃油価格の動向を見ながら対策を決定していきたい」と述べました。

河野デジタル相「さまざまな規制改革が必要な部分がある」

河野デジタル大臣は閣議のあとの記者会見で、「人口減少や人手不足、高齢化や過疎化に対応するためのデジタル技術の導入のほか、スタートアップの支援という観点から、さまざまな規制改革が必要な部分がある。経済成長のきっかけを作るうえで、規制によってサービスや機器が導入できないといったことがないよう目配りしていきたい」と述べました。

西村経産相「新しい時代の構造を作るような対策に」

西村経済産業大臣は26日の閣議のあとの会見で、「まずは足元のエネルギー対策や物価対策への対応をどうしていくかを考えていきたい。需給ギャップはもうないということなので、景気対策というよりは、成長に向けた経済対策、つまり新しい時代の構造を作っていくような対策にしたい」と述べました。

さらに、「半導体について言えば、兆円規模での民間の投資意欲を国内外から感じている。そうした投資を促していくための予算、税、制度を考えていきたい」と述べ、国内投資の拡大に向けて、減税や規制改革なども含めて総合的な支援策を検討していく考えを示しました。