災害時の通信拠点 57か所で耐震対応に課題 会計検査院

災害時にも地震や河川の情報を送れるよう、多重無線が整備された通信拠点のうち57か所で、耐震診断や必要な耐震対策が実施されていないことがわかりました。
調査した会計検査院は、大規模地震の際にも機能を維持できるよう国土交通省に改善を求めました。

国土交通省は、災害時にも地震や河川の水位、雨量などの情報を送るため、光ファイバーや多重無線回線を組み合わせた通信拠点を整備していて、会計検査院はこのうち232の通信拠点の鉄塔238基、局舎132棟の耐震性を調査しました。

その結果、耐震診断が実施されないなど、耐震性があるかわからない鉄塔が20基、局舎が13棟あったほか、耐震性が確保されないまま耐震対策が実施されていないといった鉄塔が9基、局舎が21棟あり、調査した拠点の4分の1に当たる57か所で耐震対応に課題があったということです。

このうち、兵庫国道事務所管内にある「淡路無線中継所」は、国土交通省と中国や四国、それに九州の地方整備局などをつなぐ唯一の中継地点ですが、2005年度に局舎部分の耐震性が確保されていないと診断されたあとも対策が取られていませんでした。

会計検査院は、大規模地震の際に的確な災害対応を行うためには通信機能の維持が重要だとして、国土交通省に改善を要求しました。

国土交通省は「すべての耐震対応が終わっていないのは事実で、指摘を真摯(しんし)に受け止め対応を着実に進めていく」とコメントしています。