EVバッテリーの材料 重要鉱物の安定供給で日本とカナダが覚書

世界的にEV=電気自動車の普及が見込まれ、バッテリーの材料などの確保が課題となる中、西村経済産業大臣は資源国のカナダを訪問し、重要鉱物の安定供給などで両国が協力することを盛り込んだ覚書を交わしました。

EVの普及に向けては、バッテリーの材料に欠かせないニッケルやコバルト、リチウムなどの重要鉱物の確保が課題で、中国などとの間で獲得競争が激しくなっています。

こうしたことから西村経済産業大臣は21日、カナダの首都オタワを訪問し、バッテリーの安定供給に向けて日本とカナダ両政府が交わす新たな覚書の調印式に出席しました。

カナダはニッケルやコバルトの世界有数の資源国で、覚書では、重要鉱物の資源探査などに日本が資金や技術面で協力するほか、重要鉱物の供給が途絶するリスクが高まった場合には安定供給に向けて連携するとしています。

また、日本企業がカナダにバッテリーの生産工場を建設する際には公的な支援を促進するなどとしています。

具体的な取り組みに向けて、両国政府は局長級の政策対話を新たに設け、議論していくことになりました。

また、西村大臣は、覚書の締結に先立ってカナダのシャンパーニュ革新・科学・産業相と会談し、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出について「科学的な観点から問題は生じておらず、今後も科学的根拠にもとづいた透明性の高い情報を発信していく」として、放出に理解を求めました。

西村経産相「信頼できるパートナーとしてサプライチェーン構築」

カナダを訪問している西村経済産業大臣は記者会見で、「カナダは巨大なアメリカ市場に極めて近く、地理的に大きく有利な条件にある。また、政治的に安定している民主主義国家でもあり、信頼できるパートナーとして重要鉱物に関して強じんなサプライチェーンを構築していきたい」と述べました。

そのうえで、「カナダとの連携を深めることで日本の蓄電池関連の産業が大いに発展していくことを期待するとともに、こうした分野で日本の技術を生かしながら世界をリードしていく取り組みを進めたい」として、日本企業の投資拡大を後押ししていく考えを示しました。