【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ 関与を示唆 “セバストポリはウクライナ海軍の都市”

ウクライナ空軍の司令官は、SNSで黒海艦隊の司令部とみられる施設から煙があがっている様子の映像とともに「われわれは新たな攻撃があると言っていた。セバストポリはウクライナ海軍の都市だ」などと投稿し攻撃への関与を示唆しました。

ロシア “黒海艦隊の司令部がミサイルによる攻撃を受けた”

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアのロシア側の地元幹部は22日、SNSで軍港都市セバストポリにあるロシア海軍の黒海艦隊の司令部がミサイルによる攻撃を受けたと明らかにしました。

ウクライナのメディアはセバストポリで爆発音がしたとしているほか、白い煙があがっているとする写真などを伝えています。

またロシア側の地元幹部は黒海艦隊司令部で消火活動が行われているとしているほか、ロシア国営のタス通信は司令部への攻撃によって、およそ200メートルにわたってがれきが散乱していると伝えています。

ロシア国防省は「ウクライナ軍のミサイル攻撃に対し、5発のミサイルを迎撃した。攻撃で黒海艦隊司令部の施設が損壊した」と発表しました。

また、兵士1人が死亡したと発表しましたがその後訂正し、「兵士1人の安否が確認されていない」としています。

領土の奪還を目指して反転攻勢を続けるウクライナ軍は、最近、クリミアの黒海艦隊に対してミサイルや無人機による攻撃を続けているとみられ、ロシア側も警戒を強めています。

ウクライナ軍 南部でロシア側の防衛線をさらに突破か

ウクライナ軍は南部ザポリージャ州で反転攻勢を続けていてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は21日、「ウクライナ軍の装甲車部隊がザポリージャ州西部で最終防衛線を突破しようしている」と指摘しました。「戦争研究所」は、完全に突破したかどうかは確認できないとする一方で、「ロシア軍が設置した3重の防衛線を越えた所でウクライナ軍の装甲車が確認されたのは初めてだ」と分析しています。

またアメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は21日、現地のウクライナ軍空てい部隊の将校の話としてザポリージャ州西部のロシア軍の拠点ベルボベ近くでロシア側が設置した戦車を阻止する障害物などを乗り越え、ウクライナ軍の装甲車の移動が可能になったと伝えました。ウクライナ側にも多くの損害が出ていると指摘していますが「3か月半にわたるウクライナ軍の反転攻勢の重要な節目だ」と報じています。

ウクライナ国防省の高官は今月1日にロシア軍の第1防衛線を突破したと主張し、さらに南方のロシア軍の交通の要衝トクマクの奪還を目指していて、激しい攻防が続くとみられます。

一方、南部ヘルソン州の当局は22日にロシア軍が住宅街で砲撃を行い、これまでに8人が死亡したと発表し、ロシア軍による激しい攻撃が続いています。

ポーランド大統領「最新鋭の兵器は送らないと言っただけ」

ウクライナへの支援を積極的に進めてきたポーランドの首相が「今後武器は送らない」と発言したことについて、ドゥダ大統領は「軍の近代化のために買っている最新鋭の兵器は送らないと言っただけだ」などと説明し、火消しを図りました。

ウクライナの隣国のポーランドは、軍事支援や避難民の受け入れを積極的に進めてきましたが、EU=ヨーロッパ連合の方針に反してウクライナからの農産物の輸入を独自に禁止し、ウクライナと対立しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、19日国連総会の演説で名指しは避けながらもこの措置を批判し、これを受けてポーランドのモラウィエツキ首相が20日「今後ウクライナに武器は送らない」と述べ、ポーランドの方針転換を示唆するものとして注目されました。

こうしたなか、ポーランドのドゥダ大統領は、21日、地元テレビ局のインタビューで首相の発言について「最悪の形で解釈された。私の意見は首相は『軍の近代化のために買っている最新鋭の兵器は送らない』と言っただけだ」と述べ、火消しを図りました。

また、ドゥダ大統領は「農産物を巡る争いは両国関係のほんの一部だ。関係全体に影響を及ぼすのはやめよう。それで利益を得るのは他国だけだ」と述べ、両国の対立がロシアを利することがないよう冷静な対応を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「アメリカとの団結 新たなレベルに」

ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカの首都ワシントンへの訪問を終えたあと、新たなビデオメッセージを公開し「訪問は実りあるものだった」と述べました。

この中でゼレンスキー大統領は、防空システムや爆弾などの追加の軍事支援がアメリカとの間で決まったことに加えて、ウクライナとアメリカが協力して、必要な武器を生産するための長期協定を結んだことを明らかにしました。

そのうえで「ウクライナとアメリカの団結は新たなレベルにある。自由と人々の命を守るためにアメリカと一緒に取り組む準備を進めている」と述べました。

アメリカ国防総省が追加軍事支援 クラスター爆弾供与は2回目

アメリカ国防総省は21日、最大で3億2500万ドル、日本円にして470億円余りに上る、ウクライナに対する追加の軍事支援を発表しました。

このなかには、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る殺傷能力が高いクラスター爆弾や、移動式の防空システム、アベンジャーなどが含まれています。クラスター爆弾の供与は今回が2回目です。

クラスター爆弾をめぐっては、一部が不発弾として残って民間人に被害を及ぼすおそれがあると国際社会から懸念の声も上がっていますが、領土の奪還を目指すウクライナ軍の反転攻勢を後押しする効果をあげているとして追加の供与に踏み切りました。

また、アベンジャーは、ロシア軍が暖房需要が増える冬を前に電力施設などに大規模なミサイル攻撃を行う中、ウクライナの防空能力を高めるねらいがあります。

国防総省によりますと、去年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、アメリカの軍事支援の総額は439億ドル、日本円にして6兆4500億円余りに上っています。

“冬を前にロシア軍がエネルギー施設攻撃” ウクライナが非難

ウクライナ側の発表によりますとロシア軍が21日未明、43発の巡航ミサイルによる攻撃を首都キーウなど各地に行ったということで、シュミハリ首相は、少なくとも20人がけがをしたと明らかにしました。

また、国営の電力会社「ウクルエネルゴ」によりますとキーウ州や北西部ジトーミル州などで電力施設が被害を受け、停電も発生しているということです。

ウクライナでは、去年10月頃から、エネルギーインフラ施設を標的にした攻撃が繰り返され、市民は冬の間、電気や暖房が使えなくなるなど、厳しい生活を強いられました。

アメリカを訪問中のゼレンスキー大統領は21日「ロシアのテロリストがまた大規模な攻撃を仕掛けた」とSNSに投稿するなど、ウクライナ側は、暖房需要が高まる冬場を前にロシア軍が再びエネルギー施設を狙って攻撃していると非難しています。

ゼレンスキー大統領 バイデン大統領と会談

アメリカを訪問しているウクライナのゼレンスキー大統領は21日、首都ワシントンにあるホワイトハウスでバイデン大統領と首脳会談を行いました。

このなかでバイデン大統領は「ウクライナの主権と領土の一体性を尊重した永続的な平和を支持する」などと述べ支援を続ける考えを強調しました。

これに対してゼレンスキー大統領は支援への感謝を伝えた上で「ウクライナと世界の利益につながる議論をしたい」と述べました。

アメリカ軍事支援の中に「ATACMS」含まれず

ホワイトハウスの高官は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散り殺傷能力が高いクラスター爆弾などを追加で供与すると明らかにしました。

ただ、今回の軍事支援の中には、ウクライナが強く求めている射程の長い地対地ミサイル「ATACMS」は含まれませんでした。

ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は21日行った記者会見で「バイデン大統領は、アメリカ軍やヨーロッパの同盟国、それにウクライナと、その時点の戦場で何が必要なのか、一方でアメリカが自国の防衛力や抑止力を維持しながら何を提供できるのかを定期的に協議している」と述べました。

そのうえで「総合的に考えてATACMSを供与しないと判断したが、将来的に選択肢からはずしたわけではない」と述べ供与について引き続き検討を進める考えを示しました。

ゼレンスキー大統領が米議会訪問 “支援なければ戦争に負ける”

ゼレンスキー大統領は、バイデン大統領との首脳会談を前に連邦議会を訪れ、民主・共和両党の議員と会談しました。

出席した議員によりますと、会談でゼレンスキー大統領は「われわれは支援を得られなければ戦争に負ける」と述べて、アメリカのさらなる支援を求めたということです。

ゼレンスキー大統領の訪問にあたって、議会上院では民主・共和両党のトップがそろって迎え入れ、超党派の支持を印象づけました。

ただ、野党・共和党内では議会下院の保守強硬派の議員などから「ウクライナへの無制限の支援は認められない」などと否定的な声も上がっています。

バイデン政権はウクライナへの緊急支援などのため、およそ240億ドル、日本円にしておよそ3兆5000億円の追加の予算を連邦議会に要請していて、ゼレンスキー大統領としても直接、両党の議員に支援の継続を呼びかけるねらいがあったとみられます。

一連の会談のあと、ゼレンスキー大統領は記者団に対し「すばらしい対話ができた」と述べました。

ウクライナへの支援を巡ってはCNNテレビなどがことし7月に行った世論調査で、共和党支持層の71%が議会は支援のための追加の予算を認めるべきではないとしていて、戦争が長期化する中、支援に消極的な意見も広がっています。

ロシア 予備役30万人動員から1年 兵員補充進め侵攻継続も

ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン政権が、予備役30万人の動員に踏み切って21日で1年となりました。

当時、国内では抗議デモが起きたほか、招集を免れようと多くの人が国外に逃れました。

その後、抗議デモは政権側に抑え込まれていますが、国民の間では追加の動員があるのではないかという不安や不満が根強く、独立系の世論調査機関はことし5月、24歳以下の若年層の4人に1人が恐怖などを感じているとする調査結果を発表しました。

こうした中、プーチン政権は「追加の動員はない」として不安の払拭に努めながら志願兵の募集活動を活発化させ、国営テレビなどを通じた動画の広告まで展開しています。

さらに、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日、ロシア中部のウドムルト共和国で、国防省が高額の報酬と恩赦を約束しながら受刑者を兵役に就かせているとする事例を紹介しています。

プーチン政権は、地方などで兵員の補充を進め、侵攻を継続する考えとみられます。

ただ、イギリス国防省は21日に発表した分析で「ロシア軍は、動員兵らに対する高度な訓練を行っておらず、こうしたことも複雑な作戦の遂行を難しくしている」と指摘しています。

ウクライナ 国防教育で「無人機操縦方法」生徒20万人が履修へ

ウクライナ政府は、主に15歳から16歳の生徒を対象に銃の扱い方や救命措置などを教える国防教育を行っていますが、新たに男子生徒を対象に無人機の操縦方法などを学ぶ授業を行うことを決めました。

そのねらいについて、スタシュキブ副教育科学相は21日、NHKのインタビューに対し「ロシアがウクライナに対して行っている戦争で、無人機は重要な役割を果たしている。だからこそ無人機を学ぶことが重要だ」と強調しました。

当初は、新学年が始まる今月から授業を始める計画でしたが、授業で使う無人機や専門的な知識を持った教師が不足しているとして近く、教師を対象にした講習を行うなどして、本格的に開始したいとしています。

来年5月までにおよそ20万人の生徒が無人機の授業を履修できることを目指すとしています。

スタシュキブ氏は、兵器にもなる無人機に関する授業を行うことについて「戦争が続いているウクライナでは、生徒たちは卒業後、数年でみずからの意思で戦争に行くことになる」と述べその必要性を強調しました。