ロシア 予備役動員から1年 根強い国民の不満 地方で兵員補充か

ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン政権が予備役の動員に踏み切って21日で1年となりました。政権側は、国民の間で不安や不満が根強いことから追加の動員は避ける一方で、地方などで兵員の補充を進め、侵攻を継続する考えとみられます。

ロシアのプーチン大統領は去年9月21日、予備役の動員を発表し、30万人の動員に踏み切りました。国内では抗議デモが起きたほか、招集を免れようと多くの人が国外に逃れました。

その後、抗議デモは政権側に抑え込まれていますが、国民の間では追加の動員があるのではないかという不安や不満が根強く、独立系の世論調査機関はことし5月、24歳以下の若年層の4人に1人が恐怖などを感じているとする調査結果を発表しました。

こうしたなか、プーチン政権は「追加の動員はない」として不安の払拭に努めながら志願兵の募集活動を活発化させ、国営テレビなどを通じた動画の広告まで展開しています。

さらに、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日、ロシア中部のウドムルト共和国で、国防省が高額の報酬と恩赦を約束しながら受刑者を兵役に就かせているとする事例を紹介しています。

プーチン政権は、地方などで兵員の補充を進め、侵攻を継続する考えとみられます。

ただ、イギリス国防省は21日に発表した分析で「ロシア軍は動員兵らに対する高度な訓練を行っておらず、こうしたことも複雑な作戦の遂行を難しくしている」と指摘しています。