シーク教徒殺害でカナダとインド対立続く アメリカは慎重姿勢

カナダ国内でシーク教徒の指導者が殺害された事件について、カナダ政府がインド政府の関与が疑われると批判したことをきっかけに両国の対立が続く中、アメリカは懸念を示す一方で関係を重視するインドとも連絡をとっているとするなど、慎重な姿勢を見せています。

ことし6月、カナダ西部で、カナダ国籍のシーク教徒の指導者で、インド北部におけるシーク教徒の独立運動を支援していたとされる男性が何者かに銃撃され、死亡しました。

事件をめぐり、カナダのトルドー首相は18日インド政府が殺害に関与した疑いがあるとして批判し、これに対してインド側は激しく反発しています。

さらにインドはカナダ人へのビザの発給業務の停止を発表するとともにインドが関与したとする証拠が示されていないなどとカナダへの批判を強めています。

これについて、トルドー首相は21日、訪問先のニューヨークで記者会見を開き、「インドを挑発したり問題を引き起こしたりするつもりはないが、法の支配については明確だ」と述べ、事態の悪化は望まないことを強調する一方、極めて深刻な問題だとして捜査への協力を求めました。

こうしたなか、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は会見で懸念を示す一方、関係強化をはかるインドとの間にひびが入るのではないかと問われると、「インドとは連絡をとっており、今後もとり続ける」と述べ、この問題について慎重な姿勢を見せました。