長期金利 0.745%まで上昇 2013年9月以来10年ぶりの水準

21日の債券市場ではFRB=連邦準備制度理事会の会合を受けて、アメリカの長期金利が上昇する中、日本の国債を売る動きが強まり、長期金利は0.745%まで上昇して、10年ぶりの高い水準となりました。

国債は、売られると価格が下がって、金利が上昇するという関係にあります。

21日の債券市場では日本国債を売る動きが強まり、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りが0.745%まで上昇しました。

2013年9月以来、10年ぶりの水準です。

アメリカの金融政策をめぐり、20日にFRBの会合の参加者が示した政策金利の見通しでは、来年末時点の金利水準の中央値が前回の見通しから引き上げられ、アメリカの金融引き締めが長期化するとの観測が市場で広がりました。

会合のあとアメリカの長期金利は4.4%を超えておよそ15年10か月ぶりの水準まで上昇し、日本の債券市場では、長期金利がさらに上昇しても日銀がこれを抑える対応を取りにくくなるとの見方から、金利の上昇圧力が強まりました。

また、日銀が今の金融緩和策を修正するタイミングが近づいているのではないかという観測も出て、国債を売る動きにつながりました。

市場関係者は「あす示される日銀の金融政策の方向性を見極めたいという見方も出ているが、長期金利は当面は、上昇の余地を探る展開となりそうだ」と話しています。

長期金利 これまでの推移は

満期までの期間が10年の国債の利回りは、長期金利の代表的な指標とされ、住宅ローンの固定金利や企業向けの貸し出しなどの金利を決める指標になっており、私たちの生活にも密接に影響しています。

長期金利は2000年以降、1%から2%程度で推移していましたが、2013年4月に日銀が当時の黒田総裁のもとで「黒田バズーカ」とも呼ばれた大規模な金融緩和策に踏み出したことを機に大きく低下し、直後には当時としては過去最低水準の0.315%まで低下しました。

その後、アメリカの金利上昇につられる形で長期金利が上昇する場面もありましたが、日銀が大量に国債を購入し市場に巨額の資金を供給し続ける中長期金利はしだいに低下していきました。

2016年1月に日銀がマイナス金利政策の導入に踏み切った影響で翌月・2月には0%を下回ってマイナスとなり、この年の7月には過去最低のマイナス0.3%まで低下しました。

この年の9月に日銀が長期金利をゼロ%程度に抑えるイールドカーブ・コントロールと呼ばれる枠組みを導入したことで長期金利がやや上向く場面もありましたがその後も0%前後で推移してきました。

ただ、コロナ禍以降、加速するインフレを抑えるために欧米の中央銀行が利上げを続け、日本でも長期金利の上昇圧力が高まる中、日銀は去年12月の会合で金融緩和策の修正を決め、それまで0.25%程度に抑えてきた長期金利の上限を0.5%程度に引き上げました。

さらに前回・7月の会合では事実上、1%まで長期金利の上昇を容認する方針を示しました。

こうした日銀の対応によって日本の長期金利は上昇傾向が続いていて、21日、0.745%まで上昇し、2013年9月以来、10年ぶりの高い水準をつけています。