【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍 クリミア西部のロシア軍の基地に攻撃

ウクライナ軍は21日、ロシアが一方的に併合した南部クリミアの西部にあるロシア軍の基地に対して複数の攻撃を行ったと発表しました。

これについてウクライナメディアは、情報機関の関係筋の話として、ウクライナ海軍と保安庁が作戦に関わり、無人機とウクライナ製の巡航ミサイルで攻撃したと伝えています。

また、基地には戦闘爆撃機「スホイ24」など、少なくとも12機の戦闘機のほか無人機の操縦の訓練所もあったとしていますが、どの程度の被害を与えたのかなどは明らかにされていません。

これに先立ってロシア国防省は21日未明、クリミアの上空で19機の無人機を撃墜したと発表していました。

この基地では先月にも大規模な爆発が起きて駐留するロシア軍の複数の航空機が破壊され、その後、ウクライナ軍のザルジニー総司令官はウクライナ側による攻撃だと認めるとともに、クリミアを奪還する重要性を強調していました。

ゼレンスキー大統領「防空は最重要課題の1つだ」

ウクライナ各地でロシア軍による大規模なミサイル攻撃があったことについて、アメリカを訪問しているゼレンスキー大統領は21日、SNSに「ロシアのテロリストがまた大規模な攻撃を仕掛けた。特にインフラに対してだ。ミサイルの大半は撃墜されたが、すべてではない。さらなる防空システムや制裁、そして前線にいるウクライナ兵への支援が必要だ。ロシアのテロは敗北しなければならない」と投稿しました。

また「きょうワシントンで重要な交渉が行われる。ウクライナの防空は最重要課題の1つだ」と述べバイデン大統領との会談などを通じて、防空能力を強化するための支援をとりつけたい考えを示しました。

ウクライナ各地でロシアによるミサイル攻撃 けが人相次ぐ

ウクライナ軍は21日、ロシア軍が未明に43発の巡航ミサイルによる攻撃を行い、このうち36発を撃墜したと発表しました。

ウクライナの内務省などによりますと首都キーウをはじめ東部、中部、西部の少なくとも5つの州がミサイル攻撃を受け、このうち中部チェルカーシでは宿泊施設にミサイルが直撃し、9人がけがをしました。

内務省がSNSに投稿した動画では、大きく壊れ、一部が燃えている建物から担架で人を助け出す様子が映っています。

内務省はがれきの下に人がいるかもしれないとして救助作業が続いているとしています。

また、首都キーウでは20発以上の巡航ミサイルを迎撃したものの、市内に落下した破片で9歳の子どもを含む7人がけがをしたとしています。

このほか、東部ハルキウでも6発のミサイル攻撃で3人がけがをしたということです。

さらに、西部リブネ州の知事によりますと市内のエネルギー関連施設などが被害を受け、一部の地域で停電が発生したということで、ウクライナ各地の広い範囲で被害が出ています。

ウクライナ国営の電力会社「複数の施設で被害」

ロシアによる攻撃についてウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は21日、SNSに「敵の攻撃で西部と中部にある複数の電力施設がこの半年で初めて被害を受け、リブネやジトーミル、キーウ州などで部分的に停電が発生した」と投稿し、各地で電力の復旧作業を続けていると強調しました。

ウクライナでは去年10月以降、全土で電力インフラを標的にしたロシアによる攻撃がおよそ半年にわたって繰り返され、人々は冬の間、停電や暖房の供給停止など厳しい生活を強いられました。

ウクライナ国防省の情報総局の報道官は20日、地元メディアに対し「敵がエネルギーのインフラに対する諜報活動を行っているという情報があり、テロ攻撃が繰り返される危険性がある」と述べるなどロシア側の攻撃に警戒を強めていました。

ロシア軍「クリミアでウクライナ側の無人機 19機を撃墜」

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは、ロシア国防省が21日、19機の無人機を撃墜したと発表し、ウクライナ側の攻撃だと主張しています。

ウクライナ軍は20日、クリミアにあるロシア海軍の司令部に対するミサイル攻撃が成功したと発表し、これについて地元メディアは、情報機関の関係筋の話として、ウクライナ保安庁と軍による共同作戦だったと伝えています。

ウクライナ軍はこのところクリミアや沖合でロシア軍への攻撃を強めているものとみられ、こうした動きに対して、ロシア外務省の報道官は19日「即座に厳しい対応をとる」と威嚇していました。

ポーランド首相「今後ウクライナに武器送らない」

ウクライナ産農産物の問題を巡りウクライナと対立する隣国ポーランドのモラウィエツキ首相は、20日「今後ウクライナに武器は送らない」と述べました。

ポーランドは、今月から自国の農業を保護するためとしてEU=ヨーロッパ連合の方針に反して独自にウクライナ産農産物の輸入を禁止し、ロシアの侵攻で輸出が難しくなっているウクライナ政府は反発しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、国連総会の一般討論演説で名指しは避けながらもポーランドの措置を批判していました。

これに対し20日、地元テレビ局に出演したポーランドのモラウィエツキ首相は、ゼレンスキー大統領の発言は「不当なものだ」などと反論し、ウクライナへの軍事支援について問われると「今後武器は送らない。自国の防衛力の近代化を進めているからだ」と述べ、武器の供与を見直す考えを示しました。

ポーランドは自国が保有するドイツ製の主力戦車「レオパルト2」を各国に先駆けてウクライナに供与する意向を示し欧米による軍事支援の強化の流れをつくるなど、支援に力を入れてきました。

ポーランド政府の一連の強硬な対応は、来月予定される議会選挙に向け農家など与党の支持層を意識した動きとみられますが、ウクライナへの支援を続ける各国の対応にも影響が及ぶか注目されます。

上川外相 ウクライナ クレバ外相と初会談

国連総会にあわせてニューヨークを訪問している上川外務大臣は、日本時間の21日、ウクライナのクレバ外相と初めて会談しました。

この中で上川大臣は、ロシアが民間人や民間施設に対するミサイルやドローンでの攻撃を続けていることを強く非難し「1日も早く公正かつ永続的な平和が実現するよう緊密に連携していきたい」と述べました。

そのうえで、みずからが議長を務めたG7=主要7か国の外相会合で、ロシア軍の即時撤退などを求める議長声明を発表したことを伝えました。

また、領土の回復などを盛り込んだゼレンスキー大統領の和平案に多くの国の支持が得られるよう、日本としてもインド太平洋地域の国々を中心に働きかけていく考えを示しました。

これに対し、クレバ外相は上川大臣の就任に祝意を伝えたうえで、日本のこれまでの支援に謝意を示しました。

そして両外相は、来年はじめに日本で開かれるウクライナの復興に関する会議に向けて連携して取り組むことで一致しました。

ブラジル ルーラ大統領 ゼレンスキー大統領と初会談

ブラジルのルーラ大統領は20日、国連総会が開かれているニューヨークでウクライナのゼレンスキー大統領と初めて会談しました。

両首脳はことし5月のG7広島サミットで会談が予定されていましたが会談は行われず、ブラジル側は「ゼレンスキー大統領が予定されていた時間に姿を見せなかった」として不快感を示していました。

ルーラ大統領は今回の会談後、みずからのSNSに「和平の構築の重要性をめぐって良い対話ができた」と投稿し、ブラジルとウクライナの両国がロシアによるウクライナ軍事侵攻の平和的な解決に向け、今後も対話を続けることで合意したと明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領も「率直で建設的な議論を行った」として今回の会談を評価しました。

ただ、ルーラ大統領を巡っては、同じBRICS・新興5か国の一角であるロシアを擁護しているとしてたびたび批判されていて、ブラジルが主導する和平の実現は容易ではないとみられています。

韓国 ユン大統領が国連総会で演説 北朝鮮とロシアの動きを非難

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は20日、国連総会で演説し、北朝鮮の核・ミサイル開発は「インド太平洋地域と世界全体の平和に対する重大な挑戦だ」と述べました。

そのうえで、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が先週、ロシアのプーチン大統領と会談するなど両国が軍事協力を強化する姿勢を見せていることについて「ロシアと北の軍事取り引きはウクライナだけでなく韓国の平和と安全保障を直接ねらった挑発となる。韓国と同盟国・友好国はこれを黙って見過ごさないだろう」と述べて両国の動きを強く非難しました。

ゼレンスキー大統領 安保理会合に出席 ロシア外相と非難の応酬

ニューヨークの国連本部では、20日、国連総会の一般討論演説と並行して、ウクライナ情勢をめぐる安保理の首脳級会合が開かれ、ウクライナからゼレンスキー大統領が、ロシアからラブロフ外相がそれぞれ出席し、岸田総理大臣やアメリカのブリンケン国務長官も出席しました。

この中でゼレンスキー大統領は、「この戦争の真実をほとんどの人が理解している。ウクライナの領土と資源を奪うための犯罪的な侵略だ。テロ国家はすべての国際規範を弱体化させることを望んでいる」と述べ、ロシアを厳しく非難しました。そのうえで、平和を守るためには侵略国家が安保理のメンバーであり続けてはならないとして、国連の改革が必要だと訴えました。

これに対してラブロフ外相は、軍事侵攻の原因をつくったのはウクライナ側だとする従来の主張を繰り返し、安保理でのみずからの立場を正当化したうえで、「ウクライナを支援する欧米が世界的な紛争のリスクを高めている」と反論しました。

会合では、ゼレンスキー大統領とラブロフ外相が直接顔を合わせるのではないかと注目されていましたが、いずれも相手が発言する際には議場の外にいて、互いに接触することはありませんでした。

ウクライナ軍 クリミアのロシア軍司令部をミサイル攻撃と発表

ウクライナ軍は20日、ウクライナ南部クリミアにある軍港都市セバストポリ近郊で、ロシア海軍の黒海艦隊の司令部に対するミサイル攻撃が成功したとSNSで発表しました。

詳しいことは明らかにしていませんが、この発表に先立って現地でロシア側のトップを務めるラズボジャエフ氏はSNSで「敵のミサイル攻撃を阻止した」と主張しています。

ウクライナ軍はこのところクリミア半島や沖合でロシア軍への攻撃を繰り返し、揚陸艦や潜水艦など複数の艦艇に損傷を与えたとしたほか、ゼレンスキー大統領もクリミア半島の西部にある防空システムを破壊したと今月14日に発表するなど、攻撃を活発化させています。

ロシア国防相 イランとの軍事協力 一層強化したい考え示す

ロシアのショイグ国防相はイランの首都テヘランを訪問していて、20日、アシュティアニ国防軍需相と会談しました。

ショイグ国防相は「アメリカなど欧米側の制裁の圧力にもかかわらず、ロシアとイランの協力関係は新たな段階に達している。われわれの活発な動きは戦略的な関係と軍事協力のさらなる強化を裏付けるものだ」と述べ、イランとの軍事協力を一層強化したい考えを示しました。

さらにロシア国防省によりますとショイグ国防相は、テヘランでイラン革命防衛隊の兵器の展示会を視察し、イラン製のミサイルや最新の無人機などを視察したということです。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を続ける中、イラン製の自爆型無人機を購入しているほか、ロシア国内でもイランの協力で無人機の製造を進めようとしていると指摘されています。