ウクライナが欧米の防衛産業誘致を活発化

ウクライナ側は欧米に対して兵器の供与を求めていますが、同時に今、働きかけを強めているのが、欧米の防衛産業のウクライナ進出です。

活発化するウクライナ側の誘致活動について、国際報道2023の油井秀樹キャスターの解説です。

※9月19日の「国際報道2023」で放送した内容です
※動画は3分00秒、データ放送ではご覧になれません

先月、ウクライナにさまざまな兵器を供与しているイギリスの大手防衛企業「BAEシステムズ」の代表団がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談。ウクライナ側の求めに応じて、ウクライナに拠点を開設し兵器の現地生産を始めると発表しました。

ウクライナ政府は、ウクライナに無人機を供与しているトルコの防衛企業「バイカル」、戦車や弾薬を供与しているドイツの大手防衛企業「ラインメタル」とも交渉し、すでにそれぞれウクライナに生産や修理工場などを設置することで合意しています。ウクライナ政府はロシアとの戦闘で使用する外国製の兵器の製造や修理を国内で実施することで、時間のロスを防ぐとともに欧米の関与を確実にしたい思惑があるとみられます。

一方のロシアは、ウクライナ側による欧米の防衛産業を誘致する動きに反発しています。ロシア側のけん制にもかかわらず、ウクライナ側は誘致活動を活発化させています。

ゼレンスキー大統領は、その一環として、欧米の防衛企業を招いた「防衛産業フォーラム」を近くウクライナで開く計画を発表し、21か国から86の防衛企業が参加する予定だと説明しました。

ゼレンスキー大統領は、今回の訪米でもアメリカ側に防衛産業のウクライナ進出を働きかける見通しです。その背景には来年のアメリカ大統領選挙で結果がどうあれ、アメリカの防衛産業が長期的にウクライナに関与し続ける環境を整えるねらいとされています。

欧米の防衛産業はウクライナのばく大な需要でかなりの利益を得ていると見られていますが、現地進出にはロシアによる攻撃というリスクを伴うこともあって慎重な企業も多いとされ、どこまでウクライナ側の求めに応じるのか焦点です。