【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 来月中国訪問の意向明らかに

ロシアのプーチン大統領は20日、ロシアを訪問中の中国の王毅外相をサンクトペテルブルクに迎え、会談を行いました。

この中でプーチン大統領は「ことし10月の中国訪問という習近平国家主席の招待を喜んで受け入れる」と述べ、来月、北京で開かれる予定の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際フォーラムにあわせて中国を訪問する意向を明らかにしました。

習主席は、ことし3月にモスクワを訪れた際、プーチン大統領に対してこのフォーラムへの出席のため中国に招待していて、首脳会談も行われるものとみられます。

プーチン大統領の中国訪問が実現すれば、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して以降では初めてとなります。

米軍制服組トップ「占領地域に20万、30万人のロシア兵」

アメリカ軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長は19日、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で開いた記者会見でウクライナ軍の反転攻勢について「着実に前進している」と評価しました。

ただ「ウクライナの占領地域に展開している20万、30万人のロシア兵を追い出すのは困難だ」とも述べ、ウクライナにとって今後も厳しい戦いが続くという認識を示しました。

さらに寒さが厳しくなる冬の時期の攻勢についてミリー氏は「まだ反転攻勢ができる天候は十分に残っている。ウクライナ軍は戦略的なイニシアチブを握っていて、冬の間も戦いをやめることはない」と述べ反転攻勢の作戦は天候などに影響されることはないと強調しました。

プーチン大統領 中国の王毅外相と会談へ

ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、プーチン大統領が、ロシアを訪問中の中国の王毅外相を第2の都市サンクトペテルブルクに迎えると明らかにしました。

王外相は18日にラブロフ外相、19日にパトルシェフ安全保障会議書記と相次ぎ会談していて、中ロ両国の連携を確認しています。プーチン大統領との会談では、10月、北京で開かれる予定の国際フォーラムにあわせた習近平国家主席との首脳会談に向けて調整が行われる可能性があります。

激戦地バフムト “ウクライナ側がロシア軍を退けている”

ウクライナ東部の激戦地バフムトを巡り、ウクライナ軍の参謀本部は20日、奪還された集落をロシア軍が再び掌握しようと激しい攻撃を続けているものの、ウクライナ側は陣地を固め、退けていると主張しました。

イギリス国防省は20日、「バフムト南部の2つの集落を奪還したという戦術的な成功によってウクライナ軍はバフムトへの主要な補給路の1つである幹線道路に近づいた」と指摘しました。

その上で「ロシア軍の空てい部隊がバフムトから南部ザポリージャ州に再配置されたことで、バフムト周辺のロシア軍の防衛力は低下したとみられる」と分析しています。

ウクライナ空軍 ロシアの無人機攻撃に警戒強める

ウクライナ中部のポルタワ州で20日、製油所が無人機で破壊されウクライナ側は、ロシアが無人機攻撃の頻度を増している上、防空システムの回避を図っているという見方を示し、警戒を強めています。

ウクライナ空軍は20日、ロシア軍の無人機あわせて24機が飛来し、このうち17機を迎撃したと発表しました。

中部ポルタワ州の当局者は、複数の無人機による攻撃でクレメンチュクにある製油所が破壊されて火災が発生したとSNSで明らかにしました。

けが人はいないとしています。

ウクライナ空軍の報道官は地元メディアに対して「敵はイラン製の無人機で毎晩さまざまな方角から攻撃してくる。重要インフラも標的になっている」と述べ、ロシアが無人機攻撃の頻度を増している上、防空システムの回避を図っているという見方を示し、警戒を強めています。

ロシア ラブロフ外相 ニューヨークに到着 国連総会に出席へ

ロシア外務省は、国連総会に出席するためにラブロフ外相がニューヨークに到着したと20日発表しました。

ラブロフ外相は、日本時間の21日0時から予定されている安全保障理事会の首脳級会合に出席するとしていて、同じく出席する予定のウクライナのゼレンスキー大統領との激しい論戦も予想されます。

また、ラブロフ外相は23日に国連総会の一般討論演説に出席する予定で、滞在中には国連のグテーレス事務総長と会談するほか、各国の高官や国際機関の責任者らとおよそ20の会談を行うとしています。

これに先立ちロシア外務省は今月2日「ロシアは、グローバル・サウスなどの国々とともに、公正で多極的な世界秩序を構築し、新植民地主義に対抗するための努力を続ける」などとする声明を発表し、国連外交を通じて欧米諸国に対抗していく考えを強調していました。

一方、ロシアのリャプコフ外務次官は国営のタス通信に対し「アメリカ側との接触は想定されていない。アメリカの方針を考えると価値があるとは思えない」としてアメリカ側との会談の可能性は否定しました。

アメリカ バイデン大統領 “ロシア 平和の邪魔をしている”

アメリカのバイデン大統領は19日、国連総会で演説し、ウクライナへの軍事侵攻をめぐりロシアを改めて非難するとともに、ウクライナに対する支援を継続することを強調し、国際社会に連帯を訴えました。

この中でバイデン大統領はウクライナへの軍事侵攻をめぐり、「ロシアだけがこの戦争の責任を負っている。ロシアだけが戦争を直ちに終わらせる力を持っているが、平和の邪魔をしている」と述べ、ロシアを改めて非難しました。

そして、「ロシアは世界が次第に疲れ、ウクライナへの残虐行為が見逃されるようになると信じている。ウクライナが切り刻まれることを許したら、どの国の独立が保障されるだろうか」と指摘し、ウクライナの主権と領土の一体性を守るため、支援を継続することを強調しました。

ゼレンスキー大統領「侵略者を打ち負かすために団結して行動を」

19日にニューヨークの国連総会で始まった各国の首脳らによる一般討論演説では、冒頭、グテーレス事務総長がロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、「国連憲章と国際法に違反する戦争は恐怖の連鎖を生み出し、人命を奪い人権を踏みにじり、家族を離散させた。ウクライナにとどまらず、私たちすべてに深刻な影響を及ぼしている」と非難しました。

日本時間の20日午前3時ごろからはウクライナのゼレンスキー大統領が演説し、ロシアが世界を核戦争の恐怖に陥れ、食料供給をも脅かしていると厳しく非難したうえで、「すべての力を結集し、侵略者を打ち負かすために団結して行動しなければならない」と、国際社会に支援を呼びかけました。

そして、「ロシアが世界を最終戦争へと駆り立てようとしているのに対して、ウクライナはいかなる国も他の国を攻撃することがなくなるよう力を尽くしている。戦争犯罪は処罰され、占領された土地は返還されなければならない」と述べ、国際秩序を守らなければならないと訴えると、会場から大きな拍手が起こりました。

ゼレンスキー大統領は20日に開かれる安全保障理事会の首脳級の会合にも出席するほか、各国首脳とも個別に会談し、改めて支援を訴える考えです。