米自動車メーカー3社の組合がストライキ 経済影響に懸念

UAW、全米自動車労働組合は、GM=ゼネラル・モーターズなど自動車メーカー3社との労使交渉で合意できず、ストライキに入っています。3社の組合員が同時にストライキを起こすのは初めてで、アメリカ経済への影響が懸念されています。

UAW、全米自動車労働組合はアメリカのGMやフォード、それにクライスラーのブランドを傘下にもつヨーロッパのステランティスの3社との間での労使交渉で合意できず、15日、3社の組合員が初めて、同時にストライキに入りました。

ストライキは15日の午前0時から3社の3つの工場で始まり、このうち、中西部ミシガン州ウェインのフォードの工場では労働者が待遇改善を訴えたほか、午後には同じミシガン州のデトロイトで大規模な集会も開かれました。

労使交渉では長引くインフレを背景に組合側が4年間で40%の賃上げなどを求めたのに対し、経営側の回答は要求を下回っているということでストライキがいつまで続くのか、不透明になっています。

また、交渉が難航する背景には、ガソリン車に比べて部品の数が少ないEV=電気自動車の普及が雇用の縮小につながることへの組合側の強い不安があるとみられます。

3社の組合員は15万人にのぼり、UAWはストライキの拡大も示唆していることから、長引いた場合のアメリカ経済への影響が懸念されています。

集会に参加した従業員「賃金が物価の上昇に追いついていない」

15日、デトロイトで開かれたUAW、全米自動車労働組合の集会に参加した従業員の男性は「賃金が物価の上昇に追いついていないと感じている。私たちは公平な分配を求めているだけだ」と話していました。

また、別の従業員の男性は「卵の値段が12ドルとなるような物価上昇はみんなにとって厳しいことだ。このストライキが続く限り参加するつもりだ」と話していました。

バイデン大統領「労働者の不満理解できる」

UAWがストライキに踏み切ったことを受けてバイデン大統領は15日、急きょ、演説を行いました。

この中で、バイデン大統領は、自動車業界が記録的な利益をあげているものの、労働者にその恩恵が行きわたっていないと指摘し「誰もストライキは望んでいない。しかし、労働者の不満は理解できる」と述べました。

そのうえで「自動車業界の労働者がアメリカの中間層を形成してきた。彼らや中間層を支えるための労働契約が必要だ」と述べて経営側に対して歩み寄りを呼びかけました。