ユネスコ ウクライナの2つの世界遺産「危機遺産」登録を決定

ユネスコの世界遺産委員会は、ウクライナの2つの世界遺産がロシアの軍事侵攻で破壊される脅威に直面しているとして、緊急に保存や修復などが求められる「危機遺産」に登録すると決めました。

サウジアラビアの首都リヤドで開かれている、ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会は15日、各地の世界遺産の保全状況の審査などを行いました。

この中で、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナの世界遺産のうち、首都キーウの「聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群、およびキーウ・ペチェルシク大修道院」と、西部リビウの歴史地区について、緊急に保存や修復などが求められる「危機遺産」に登録するかどうか審査が行われました。

その結果、これらの世界遺産がロシア軍による攻撃で破壊される脅威に直面し「保護を保証する条件が満たされていない」として、危機遺産に登録されることが決まりました。

ユネスコ関係者によりますと、危機遺産への登録は、遺産がある国の保全管理に問題があることが根拠となりますが、今回は現在のウクライナの特別な事情が考慮されたということです。

これに先立つ14日には、イタリアのベネチアについても観光客の増加への対策が不十分だなどとして審査されましたが、改善に向けたイタリア政府の対応が評価され、危機遺産への登録は見送られました。